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“日本のエース”山本由伸、田中将大と「10cm差のステップ幅」に見る“唯一無二”の凄み《侍ジャパン初戦を6回無失点9奪三振の快投》

posted2021/07/29 11:10

 
“日本のエース”山本由伸、田中将大と「10cm差のステップ幅」に見る“唯一無二”の凄み《侍ジャパン初戦を6回無失点9奪三振の快投》<Number Web> photograph by Getty Images

初戦のドミニカ戦で先発し、6回無失点に抑えた山本

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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 日の丸の重圧もあっという間に吹き飛ばした。

 侍JAPANの開幕投手を託された山本由伸投手(オリックス)が、ドミニカ共和国戦を6回2安打無失点の好投で“日本のエース”へと名乗りを上げた。

「初戦ということもあり、少し緊張もあって、初回はデッドボールを当てたりとちょっとバタついてしまった」

 本人がこう振り返ったように、立ち上がりは明らかに硬く、それが制球の乱れに出てしまった。

 先頭のエミリオ・ボニファシオ外野手を右飛に打ち取った直後、2番のフリオ・ロドリゲス外野手に甘く入った真っ直ぐを中前に弾き返された。そしてメジャーで本塁打王を奪った実績のあるホセ・バティスタ外野手の2球目を左手甲にドスン。いきなり1死一、二塁のピンチを背負った。

4連続を含めた9奪三振で世界に名を轟かせた

 この場面で打席に迎えたのは、メキシコでの最終予選で打率4割6分5厘、3本塁打と大暴れした元巨人の4番、フアン・フランシスコ内野手。しかしこのフランシスコをフルカウントから内角低めに制球した真っ直ぐで二ゴロ併殺に仕留めてピンチを切り抜けた。

「何とか先制点だけは与えないように、しっかり気を引き締めて丁寧にピッチングできた」

 2回からはほぼ完璧。6回で費やした球数は88球で5回2死からの4連続を含めた9つの三振を奪って世界に山本の名を轟かせた。

 今回の日本代表の取材で、この右腕の凄さを改めて垣間見たシーンがあった。

 開幕前日の練習だった。福島あづま球場の室内ブルペンはスタンド外周のオープンスペースにあり、そこで山本の投球練習を間近で見ることができた。

【次ページ】 山本と田中将大の“着地点”の違いとは?

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