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松山英樹に“巨大なアドバンテージ?” 慣れ親しんだゴルフ場で挑む東京五輪「カスミは人生が変わった場所なので」
posted2021/07/28 11:04
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph by
Shizuka Minami
29日に開幕する東京五輪の男子ゴルフは、今、ベールに包まれたような状態にある。
戦いの舞台となる霞ヶ関カンツリー倶楽部(埼玉県)は、日本勢以外のほぼすべての選手にとって、これまで見たことも足を踏み入れたこともない未知の世界だった。
米メディアの記事には、こんなくだりがある。
「高校野球の舞台であるコウシエン(甲子園)は日本で最も聖なるスポーツの場だが、カスミガセキ(霞ヶ関)は、いわば“日本のゴルフのコウシエン”だ」
そのコウシエンで選手たちの練習が解禁になったのは先週24日。世界の代表選手たちは三々五々やってきてコースチェックを始めたが、予備知識も経験もほぼゼロからスタートする準備は、膨大で雲を掴むような作業であることは言うまでもない。
デシャンボー、世界1位ラームも欠場
しかし、どんなに大変でも、その作業ができれば、まだいい。と言うのも、4名の米国勢の一人だったブライソン・デシャンボーは、日本への出国前の最終PCR検査で陽性判定を受け、五輪は欠場せざるを得なくなったからだ。
その数時間後には、6月の全米オープンを制覇したばかりの現在の世界ランク1位、スペイン出身のジョン・ラームも陽性判定を受け、やはり欠場を余儀なくされた。
デシャンボーに代わって急きょ五輪出場が決まったパトリック・リードは、知らせを受けたときには、まだ前週の米ツアー大会(3Mオープン)の3日目を終えたところで、すぐにPCR検査を受けた。翌日の最終ラウンド後にさらに2度目のPCR検査を受け、どちらもクリアして、ようやく出国。おそらくは霞ヶ関CCを一度も回らずして、初日の1番ティに立つことになる。
そんなふうに世界の代表選手たちは混沌とした状態に置かれており、これから始まろうとしている五輪のゴルフは、ベールに包まれ、先が読めない状況だ。
そんな中、自国開催の五輪に挑もうとしている日本勢は、地理的にも、言語や風土、文化に関しても、ゴルフコースに対する知識や経験においても、圧倒的に有利であることは明らかだ。
とりわけ、霞ヶ関CCに特別な想いを抱く松山英樹は「巨大なアドバンテージを持っている」と世界は見ている。