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《男子ゴルフ》松山英樹、“特別な場所”でメダル届かず「ゴルフはメジャーが4つあって、恵まれているのかな」
posted2021/08/02 06:00
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph by
Shizuka Minami
東京五輪ゴルフの最終日の朝。霞ヶ関カンツリー倶楽部へ向かって車のハンドルを握る自分の手に妙に力が入っていることに気付き、我ながら驚いた。
松山英樹が首位のザンダー・シャウフェレ(米国)に1打差の単独2位から挑む最終日、彼のメダル獲得、いや金メダルを獲得を想像するだけで、メディアの私でも自ずとアドレナリンが溢れ出す。
果たして松山本人はどんな気持ちでこの朝を迎えているのだろうか。そう、思えば思うほど、一層、胸が高鳴った。
「自分の人生が変わった場所なので」
東京五輪への想いを松山の口から初めて聞いたのは2年前。2019年の暮れだった。
「11年前のアジア・アマで勝って、マスターズに出て、カスミ(霞ヶ関CC)は自分の人生が変わった場所なので、また変われたらいいなと思う」
昨年暮れにも、やはり松山は同じ言葉を口にした。
そして、この五輪ゴルフの開幕前の会見でも「アジア・アマに勝って、マスターズに出て、今年のマスターズで優勝したので、また変われたらいいなと思う」と、マスターズ優勝を付け加えた上で、彼はやっぱり同じフレーズを唱えた。
具体的に、どんな変化を望んでいるのかはわからない。彼自身にとって、その変化は、今はまだ正体不明の未知数なのだろうと感じられた。
しかし、いざ霞ヶ関にやってきた松山には、すぐさま変化が見て取れた。