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男子4×100mリレー「銀メダル以上は実現できる?」「桐生とデーデーはなぜ選出?」理想オーダーに必要な“3つの条件”
text by
折山淑美Toshimi Oriyama
photograph byAsami Enomoto
posted2021/07/16 17:02
個人として東京五輪出場を逃した桐生祥秀。男子リレー代表として、東京五輪の舞台に立てるか
〈オーダー予想〉1走多田、2走山縣が順当で……
土江コーチの理想のオーダーでは、3走と4走は桐生とサニブラウンだろう。サニブラウンは8秒台のラップタイムを出せる能力があり、桐生とともに他のトップチームとも対等以上に戦える走力を持っている。
サニブラウンの調子が上がり切らない場合は、4走にデーデーの可能性も出てくる。またサニブラウンもダメで桐生もアキレス腱が万全でないとなれば、曲走路を避けて負担が少なくなる4走に桐生を回し、小池を3走というオーダーもありうるだろう。
一方、序盤の1、2走を考えれば、日本選手権までの調子のままなら1走は多田で、2走は山縣となるのが順当だろう。多田は17年と19年の世界陸上で1走を務め、ともに銅メダル獲得の実績もある。これまで終盤での減速は少し大きかったという課題もあったが、今季の100mでは終盤の粘りも見せるようになり、その課題も克服しつつある。そして山縣は9秒95の走力を生かせると。
だが、ここまではなかなか調子が上がらずキレのある走りができていなかった小池が、9秒98を出した19年に近い状態になり、100mでも準決勝に進出して10秒0台前半くらいを出すまでになれば、また違う勝負が出来そうな展開にもなってくる。
理想のオーダーを組むための「3つの条件」
世界のトップとの競り合いを考えれば、2走は山縣が走ったとしてもライバルとは同じくらいのラップタイムで走り、バトンをもらった順位を維持する展開になるだろう。だが彼の場合1走では、リオデジャネイロ五輪では10秒2台前半のラップタイムで走って他の国に0秒1以上のアドバンテージをつけた。その曲走路の走りの技術の高さと、さらに走力が上がったことを考え、アドバンテージをより大きくすることを優先すれば、山縣を1走にして200mでも20秒23を持つ小池を2走というパターンもありうる。それでサニブラウンも使えれば、全員が9秒台という夢のオーダーになる。土江コーチが理想と考えているのは、これかもしれない。
ただそれを実現させるためには、サニブラウンと小池の急激な復調と、桐生のアキレス腱が万全な状態になるという条件は付いていて不確定要素も多いのが現状だ。
選手たちがどのように調整をし、どこまで状態を上げ切ることが出来るか。そして、それを最後まで見極めてどう勝負をかけるのか。その行方は個人種目の走りで少し見えては来るだろうが、誰が選ばれるのか後までドキドキしそうだ。