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〈五輪直前に2つの日本新〉田中希実21歳の“父コーチ”が明かす“親子の師弟関係”「実はかなり大変です(苦笑)」

posted2021/07/20 11:04

 
〈五輪直前に2つの日本新〉田中希実21歳の“父コーチ”が明かす“親子の師弟関係”「実はかなり大変です(苦笑)」<Number Web> photograph by AFLO

東京五輪前最後のレース「ホクレン・ディスタンスチャレンジ2021」で2つの日本新記録を出した田中希実

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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「タイムは狙っていなかったです。(北見大会の)5000mでタイムを狙っていたんですが、不甲斐ない走りをしてしまった。その怒りの気持ちを今回のレースにぶつけたんですが、まさかこんなタイムが出るとは思っていなかったので、うれしく思います」

 田中希実は、このレースの3日前に行われた北見大会で5000mに出場、自己ベストである15分00秒01の更新を目指したが、15分17秒93に終わった。「残り2周を2分10秒で走りたかったが余裕がなかった」と失速し、スタミナに不安を感じていた。予想外のタイムに気持ちの切り替えも十分ではなかったが1500mのレースでは、そんなところは微塵も見せず、北見でのくやしさを晴らした。短期間での修正力は田中が成長したところのひとつだ。

「連戦とハードなトレーニング」で地力をつけた

「日本記録を狙っていない中で(タイムが)出ているというのが昨年と違うところですし、無理しているようなしてないようなところのギリギリのラインでタイムが出ているので、すごく地力がついたのかなと思います」

 田中は、そう言って笑みを見せた。

 地力がついたのは、今年の春からの取り組みの成果だろう。春から連戦でレースをこなし、その合間にハードなトレーニングを入れた。1500mの連戦はワールドランキングのポイントを稼ぐという狙いもあったがハイレベルのレースを次々とこなし、「ギリギリの戦い」という質の高い練習でランナーとしての完成度を高めてきた。

 このハードな取り組みの狙いについて、父でもある田中健智コーチ(豊田自動織機)は、こう語る。

「本人は、昨年と違って春から連戦を戦うということに引っかかっていたと思うんですけど、それをあえて続けて、さらにトレーニングをこなしたのは基礎的なベースを上げたかったからです。1年の中でたまたま良いタイミングに走れたからではなくて、いつでもこのくらいの記録を出せるぞという土台を作りたいと思っていた。それが春から夏にむけての取り組みでした」

今年は気持ちが落ちた「びっくりするぐらい走れない」

 コーチの狙いと田中の努力がシンクロし、地力はついた。一方で、昨年と異なる取り組みだったので、田中には違う課題が見えたという。

【次ページ】 父コーチ「気持ちが抜けてしまうんです」

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