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三浦龍司ら3人が五輪へ マイナー種目「男子3000m障害」がナゾに急成長した“3つの理由”〈5年で15秒も短縮〉
posted2021/07/16 17:00
text by
酒井政人Masato Sakai
photograph by
Asami Enomoto
陸上日本選手権を20年近く取材してきて、男子3000m障害の急激なレベルアップを強く感じている。その“旗手”といえるのが19歳の三浦龍司(順大)だ。今年の日本選手権では、残り1周の鐘が鳴る前の水濠でバランスを崩して転倒したにも関わらず、すぐにトップを奪い返してゴールに飛び込んだ。
三浦の圧倒的なスパート力と、コケても日本新(8分15秒99)という快挙に驚かされたが、ドラマはそれだけではなかった。山口浩勢(愛三工業)が8分19秒96、青木涼真(Honda)が8分20秒70をマーク。上位3人が五輪参加標準記録(8分22秒00)を突破して、東京五輪代表に内定したのだ。さらに潰滝大記(富士通)が8分25秒49、小原響(青学大)が8分27秒80と上位5人が自己ベストを更新した。
なぜ3000m障害はここまで急成長した?
振り返ると、2001~2009年に8度の優勝を飾った岩水嘉孝が第一線から退いた後、日本選手権のレベルはガクッと下がった。岩水は2003年の8分25秒56を含めて、8分20秒台を3度マークしたが、その後は8分30秒の壁を突破できずにいた。
その流れが変わり始めたのは2018年からだ。塩尻和也(当時・順大)が日本選手権では10年ぶりの8分30秒切りに成功(8分29秒14)。2019年は阪口竜平(当時・東海大)が8分29秒85で、昨年は山口が8分24秒19で制している。今回は三浦の登場もあり、さらにタイムが急上昇した。
なぜ3000m障害はここまで急成長を遂げたのだろうか?
現役選手に聞く「この数年で、何が変わったのか?」
近年のレベルアップについて、今夏に30歳を迎える山口浩勢にぶつけてみると、以下のような答えが返ってきた。
「シューズの進化もあると思うんですけど、有力選手が積極的に取り組むようになってきたんです。僕が高校生の頃は、インターハイ路線(各校1種目につき3人が出場できる)で5000mや1500mに漏れた選手が3000m障害をやる感覚だったんですけど、世代トップの選手がやるようになって変わってきたのかなと」
さらに青木涼真も「この数年で盛り上がってきたなかで、三浦君という大きな才能が入ってきて、さらに活性化してきました」と話している。