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「マインドが変わった。そこがうれしい」沢木敬介がジェイミージャパン欧州遠征を総括…松島幸太朗が生きるポジションとは
text by
大友信彦Nobuhiko Otomo
photograph byJRFU
posted2021/07/10 11:03
沢木氏が「いいパフォーマンスだった」と振り返るSO田村優。2023年W杯に向けた10番争いも注目だ
★アイルランド代表戦(39-31●)
進歩を感じたのはキックの使い方。
有効なキックを多く蹴っていたし、相手のアタックをしっかり止めて、相手に不利な状態でキックを蹴らせる場面を何度も作っていた。ゲームの組み立てに意図が感じられた。あとは、その戦い方に応じてどんな選手を置くか。
今はまだ、次のワールドカップに向けて、いろんな選手を試す段階。極論をいえば、ワールドカップ本番までの試合はすべてウォームアップということもできる。けれど、テストマッチは結果を出していかないといけない。もちろんリーチ(マイケル)はじめ選手のコメントを聞いていても、そこは理解している。欧州の強敵とアウェーで戦っても、勝たなきゃいけないという認識。日本代表のマインドは明らかに昔とは変わっている。そこがうれしい。
アイルランド戦で日本代表は4トライを挙げた。これは日本が世界で勝つためのスタンダードです。日本がティア1の強敵と戦うとき、ディフェンシブな試合で優位性を出すのは難しく、10-7みたいなスコアは考えにくい。
勝ちパターンは4トライ、30点を挟んだ競り合いになる。15年W杯の南ア戦は3トライをあげて34-32、19年のスコットランド戦は4トライで28-21。日本はボールを動かしてトライを取りたい。
その点、今回のアイルランド戦で良かったのは、アタックするフォーメーションが保てたこと。セットから用意したアタックをするだけでなく、ボールを獲得したときに、選手個々が有効なアタックをするために動けていた。57分の齋藤のトライの場面では、自陣で相手キックを捕った(セミシ・)マシレワのカウンターアタックにナキ(アマナキ・レレイ・マフィ)が戻ってチャンスを広げた。アタックにおける個々の役目はかなり細かく決められていると思うけれど、大事なのはその役目を果たすための予測力。ここは経験を積みながら、もっと伸ばしていってほしい。