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「後任は神鳥しかいない」明治ラグビーが新章に突入…新監督が追及する“BIG”、継承されるオフ・ザ・ピッチの態度とは?
posted2021/07/09 17:02
text by
多羅正崇Masataka Tara
photograph by
Meiji University
大学ラグビー界の名門が新章に突入した。
優勝13回を誇る明治大学は、2018年度に22年ぶりの日本一に導いた田中澄憲監督の後任として、5月までトップリーグのリコーを率いたOBの神鳥裕之氏を新監督に招いた。
今年のトップリーグが5月まで行われていたため、正式な就任は6月1日だった。シーズン途中から指揮する異例の継投だが、裏を返せば特例が認められるだけの人材ということ。
46歳の新監督の就任記者会見で、前ラグビー部長の大六野耕作学長がこんな裏話を明かしていた。
「2年くらい前から、前任の田中監督は『後任は神鳥しかいません』と言っていました。リコーでも選手が良い育ち方をしていたので、そこも信頼しています」
神鳥新監督が13年から8季指揮したトップリーグのリコーは、8強の常連に成長した。事実として16年から連続で8強入りしているチームは、パナソニック、サントリー、トヨタ自動車、神戸製鋼、そして21年も8強に入ったリコーの5チームしかない。
オフ・ザ・ピッチの姿勢
ただ首脳陣からの信頼と、当の部員からの信頼はまた別だろう。
監督交代は部員に少なからぬ不安を与える。まして前任者は、17年のヘッドコーチ時代を含めた4季で大学選手権優勝1回、準優勝2回の戦績を残した田中氏だ。
しかし新体制後の6月末、スクラムハーフの飯沼蓮主将は、落ち着いた声色で新監督への信頼感を口にした。
「大切なのは『オフ・ザ・ピッチ』であるという、勝つべき集団として大切な部分は、キヨさん(田中前監督)も神鳥さんも変わらないと感じています」
オフ・ザ・ピッチ。日々の練習以外の部分だ。
「神鳥さんが最初に仰ったことは『1日の練習は2時間程度で、練習をしていない時間の方が多い。練習をしていないオフ・ザ・ピッチの部分でいかに差をつけられるかが大事』『ラグビー以外の当たり前のことを、当たり前じゃないくらいにやることが勝つ準備に繋がる』といったことでした」
このオフ・ザ・ピッチはメイジ復活の要諦だった。