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“マシンガン継投”せざるを得ないのも想定内? 巨人・原辰徳監督が計算に入れる今季の「特別ルール」とは
posted2021/06/04 11:55
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Kiichi Matsumoto
巨人のマシンガン継投を危ぶむ声が広がっている。
直近の6月1日からの西武3連戦では、初戦で先発の高橋優貴投手が4回途中に足の違和感を訴え降板するというアクシデントがあったとはいえ、その後は畠世周投手から6投手を注ぎ込む小刻みなリレー。翌日の第2戦も先発の横川凱投手を3回で諦めると2番手の戸根千明投手から5人の投手を投入した。そして3日の第3戦では先発のエンジェル・サンチェス投手が6回途中まで投げたものの、その後は大江竜聖投手、高梨雄平投手をいずれも左打者のワンポイントで起用する継投でリリーフ陣を5人も使った。
結果はこの3連戦は9回までリードしていた2試合を追いつかれて引き分け。3連戦3連勝の可能性もあったシリーズは1勝2分けという結果に終わっている。しかも畠と中川皓太が3連投、大江が2連投して、移動日なしで次戦の日本ハム戦へと突入していくことになったわけだ。
ただ、こうしたマシンガン継投はこの西武3連戦に限ったことではない。
デラロサの戦線離脱から迷走が始まった
シーズンを通しても西武戦が終わった55試合消化時点で、巨人の延べ登板投手数は246投手で、1試合平均の投手投入数だと4.47人。阪神の3.62人を大きく上回る結果となっている。
きっかけとなったのは4月15日の守護神、ルビー・デラロサ投手の戦線離脱だった。
今季のデラロサは新型コロナウイルスによる隔離期間の問題などで開幕に間に合わずに、3月31日にチームに合流。その後は4月1日の中日戦で今季初セーブをあげると、6試合で5セーブを記録し、中川と共に勝ち試合の8、9回を2人で賄う役割をきっちり果たしていた。
この間の投手陣の延べ登板数は12試合で39人で1試合平均3.25人と、極めて平均的な数字に収まっていたわけだ。ところがそのクローザーが米国の市民権を獲得するために、4月15日に帰国。約40日にわたってチームを離れたところから迷走が始まった。