プロ野球亭日乗BACK NUMBER
“マシンガン継投”せざるを得ないのも想定内? 巨人・原辰徳監督が計算に入れる今季の「特別ルール」とは
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKiichi Matsumoto
posted2021/06/04 11:55
6月1日からの西武との3連戦で3連投した巨人・中川
「投手陣がもたない」と一部のOB、評論家から声が
この事態に原辰徳監督は、開幕前には「守護神候補」に挙げていた中川ではなく、球の威力を買ってチアゴ・ビエイラ投手の守護神起用を模索。しかしビエイラは制球難が露呈して、失格の烙印を押されると中川に加えて鍵谷陽平、高梨、野上亮麿らの各投手を状況や点差に応じて試合を締めくくる投手として起用せざるを得なくなっていった。
そうしてリリーフ陣の役割分担が崩れたことで、臨機応変、悪く言えばその場凌ぎの投手起用で戦うことになっていったのである。
それが今の巨人の現状であり、その“その場凌ぎ感”に対して、「これでは投手陣がもたない」と一部のOB、評論家から声が出ているという訳だ。
ただ、この戦いは原監督の中ではある程度は、想定内であることも間違いない。
「昨年に続いて今年もコロナ禍という状況の中で戦わなければならない。ということは、例年のシーズンとは全く違う特別なシーズンになるということでもあると思います」
原監督がこう語っていたのは、開幕前に話をしたときのことだった。
常に万全の状態で戦えないケースを想定している
特別なシーズン。
その1つには昨年もそうだったが、どうしても選手のコンディショニングが難しくなり、ケガ人やあるいは、新型コロナへの感染者等の出る可能性も想定せざるを得ないこと。要は常に万全の状態で戦えないケースを想定し、それに備えておかなければならないということだ。
実際問題として巨人でも4月にチーム内クラスターが起こって丸佳浩外野手、ぜラス・ウィーラー内野手らが戦線離脱する事態が起こった。
そうして主力選手が数人単位で欠けることを想定しながら、調子のいい若手選手を随時投入できるようにスタンバイさせる。それが序盤の松原聖弥外野手、香月一也内野手らの活躍であった。