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巨人を去った27歳、巨人に残った27歳…ジャイアンツ4年前のドラ5&ドラ6(93年組)が東京ドームで“逆襲”した日
text by
中溝康隆Yasutaka Nakamizo
photograph bySankei Shimbun
posted2021/03/31 11:06
2017年ドラフト6位で巨人入りした若林晃弘。オープン戦で打率.371、2本塁打、10打点という結果を残して開幕スタメンを勝ち取った
オープン戦でチーム打撃三冠と打ちまくり、「2番二塁」で初の開幕スタメンを勝ち取った巨人の若林晃弘。FAの梶谷隆幸の人的補償でDeNAへ移籍、ユニフォームを変え「7番二塁」で先発出場の田中俊太である。
約2年前、2019年前半戦に巨人では「93年組」と選手10名がフラットに並んで各種グッズを発売した。その中にいたのが、17年ドラフト6位の若林であり、17年ドラフト5位の田中だった。それぞれ大卒から社会人経由でプロ入り。誕生日はほぼ1週間違いでともに93年8月生まれの同い年。ポジション含め選手としてのタイプも似ていた。いわば分かりやすい“同期のライバル”だ。
「95年生まれ」吉川尚輝の急成長
そして、彼らはプロ入り後、“20代中盤の壁”にぶつかった。多くの若手社会人も入社2~3年目に思い切りそこにぶち当たる。少し上の世代はバリバリに仕事ができるし、後輩にも稀にとんでもない才能を持った逸材が出てきたりする。当時の巨人で言えば、全盛期の坂本勇人や丸佳浩が先輩にいて、年下にドラ1組の岡本和真や吉川尚輝がいるような状況だ。
特に20年に二塁レギュラーとして定着した95年生まれの吉川尚輝の成長は、93年組の出場機会を大きく減らす一因にもなった。そして、自己ワーストの48試合の出番に終わり、オフにプロテクトリストから漏れた田中はDeNAへ移籍することになる。若林だって、昨季は打率.247、2本塁打。プロ4年目となる今年の春季キャンプ時は吉川、北村拓己に次ぐ二塁3番手兼内外野を守れる便利屋という立ち位置だった。それがオープン戦で打率.371、2本塁打、10打点という結果を残して、実力で逆転の開幕スタメンを奪い取ったのだ。
巨人を去った27歳の「6打点」
開幕戦の主役となったのは、巨人を出た田中の方だった。