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原辰徳「野球ってこんなに凄いんだ!」~指揮官が語る20年~
posted2021/04/01 07:00
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Hideki Sugiyama
昨季までに監督として重ねた白星は球団最多の1091。還暦を越えてなお、全身からまばゆい光を放ち続けるかつての“若大将”はいかにして“名将”となったのか。2002年の初就任から現在に至る道程を語り尽くす。
監督・原辰徳のデビュー戦は2002年の3月30日、東京ドームでの阪神戦だった。開幕戦で阪神に1対3で敗れ、そこから3連敗。しかし6月に首位に躍り出ると、2位以下を突き放してセ・リーグ優勝を果たし、西武を下して日本一の座についた。ところが2年目のシーズンは主砲・松井秀喜のメジャー移籍に加え、主力野手に故障が続出。投手陣も前年の優勝を支えたベテラン陣の不調が目立ち、早々に優勝戦線から脱落して3位へと転落してしまった。
やっぱり1年目、2年目を振り返ると、監督として幼かったなと思いますね。当時の私には監督たるや、というものがあって、それは亡くなった藤田さん(元司元巨人監督)であったり、父(原貢元東海大学系列校野球部総監督)の晩年を見て、自分で描いていたものでした。しかし実際は1年生監督。背伸びしていた訳ですよ。全てを自分でやりたいと思って、実際にやろうとしてしまっていました。
監督というのはアンテナを何本も持って、そのアンテナで色々な意見や情報を集めて、それを発信していく。ただ、集まった情報や意見でも、ある時には聞かなかった振りをしなければいけないこともあるし、答えはノーでも『理解しているよ』と伝えなければならないときもある。そういうことができるようになるのは年輪、経験なんです。