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【センバツ】寮長や元コーチャーが本塁打、昨秋ベンチ外→甲子園で好投… “背番号2ケタ”と“控え”が大活躍のワケ 

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間淳

間淳Jun Aida

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posted2021/03/28 17:04

【センバツ】寮長や元コーチャーが本塁打、昨秋ベンチ外→甲子園で好投… “背番号2ケタ”と“控え”が大活躍のワケ<Number Web> photograph by KYODO

今大会センバツ第1号を放った「17番」の鈴木悠平。彼のような選手の活躍にベンチ全体が沸くのも当然だ

「新しい発見」「ちょっと意外」…名将も驚き

<東海大相模・門馬敬治監督>
「昨年の4~6月は活動ができなかった。8月23日に神奈川県の大会が終わって、24日から学校が始まった。ほぼオープン戦がない状態だったが、8月29日に県の地区予選が始まった。とにかく日にちがなくて、新しい発見ができなかった。オープン戦が少なくて新しい選手にチャンスを与えられなかったが、年末にかけて少しできるようになってきて、いろんな選手(の存在)がチームの中で見えてきて、気付かされた。時間、選手にチャンスを与える場所は必要。それができたことによって、新しい選手の台頭があったと考えている」

<中京大中京・高橋源一郎監督>
「早い段階では他の選手を候補に挙げていたが、メンバー変更がきく最後のところで櫛田の状態が良かった。紅白戦で結果を出していて、3月6日に対外試合が解禁されてからも大事なところでコンスタントに結果を残していた」

<東海大菅生・若林弘泰監督>
「鈴木悠平はパンチ力があるが、ホームランはちょっと意外だった。オープン戦、練習試合から調子が良くてホームランは出ていた。ただ、公式戦、特に甲子園という場で去年秋の大会のメンバーにも入っていない彼が、どれだけできるかが不安ではあった」

 選手の力を見極める最大の機会は実戦だ。しかし、どの高校も新型コロナの影響で、これまでのように対外試合を重ねることができなかった。

 特に、昨年の春と夏の甲子園が中止となり、夏の甲子園をかけた地方大会は都道府県の独自大会に変更されたことで、負けたら夢が終わる“極限の緊張感”を経験する場が失われた。年が明けて少しずつ実戦の場が増え、センバツのメンバー入りをかけたチーム内での負けられない戦いが活発化した。そこで、一気に存在感を示して背番号を手にした選手が、甲子園でも活躍している。

 つまり、新型コロナの影響がなければ、もっと早く監督の目に留まり、1ケタの背番号をつけたり、昨秋からスタメンで出場していた可能性もあるのだ。

寮長を務める米田の公式戦初本塁打

 こうした選手が聖地で花開く背景には、新型コロナウイルスという見えない敵の存在がある。そして、もう1つ。見えない力が後押ししているのかもしれない。

 市立和歌山戦で自身4本目、公式戦では初となる本塁打を放った米田は、野球部の寮長を務めている。その役割は、起床の点呼や消灯の確認、掃除の点検、生活指導など多岐にわたる。「毎日の生活の仕方が寮をまとめるのにふさわしい」と上級生や同級生らの推薦で決まったという。

 川崎絢平監督は「きっちりした毎日の生活から技術はついてくる。それが一番できる人間に寮長を任せている。寮長になる選手はもとからすごい能力があるというより、どんどん成長する、伸びてくるタイプ。こういう大きな舞台では、見えない力を信じてやっている選手が活躍するんだなと感じている」とその成長ぶりを実感して話している。

三塁コーチャーだった選手がヒーローに

 また、冒頭で取り上げた中京大中京の櫛田は昨秋、三塁コーチャーだった。

【次ページ】 「紅白戦でも悔いは残さないと1打席に」

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