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大変だった春季キャンプ、“14度目”の中田翔が「今年は本当にきつかったわ」と漏らした理由【広報は見た】 

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高山通史

高山通史Michifumi Takayama

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posted2021/03/04 11:01

大変だった春季キャンプ、“14度目”の中田翔が「今年は本当にきつかったわ」と漏らした理由【広報は見た】<Number Web> photograph by Kyodo News

練習試合で本塁打を放った中田をグータッチで迎える栗山監督。日本ハムは1日、沖縄・名護で行った春季キャンプを打ち上げた

「今年は、本当にきつかったわ」

 組織としてではなく、個々でも闘っていた。キャンプ終盤、中田翔選手と雑談になった。14度目の春季キャンプ。ファームも、米国アリゾナ州でのキャンプも経験しているが、ふと漏らした。

「今年は、本当にきつかったわ。まったく気持ちの切り替えができなかった」

 ファイターズは不要不急の外出は、全員が禁止というチーム・ルールが設定された。許されたのは、日用品購入目的のコンビニエンスストア、散髪等のみ。例年であればオフには、それぞれが買い物や、来訪した家族と観光などで気分転換するが、今年は一律、禁じられた。

 オフの日は、これまでにない光景をよく目にした。タピックスタジアム名護の海岸沿いを、黙々と1人で散歩するコーチ陣。小笠原道大ヘッドコーチもその1人で「ずっと、ホテルの部屋にいると変になってしまうからな」と、ただただウォーキングしていた。球場に隣接する雑木林をゴルフ場に見立て、クラブを手に練習をしている選手たちもいた。ショートゲームをして、楽しんでいた。栗山監督も午前は散歩してから、ダッシュなどランニングをするのがオフの日課だったのである。

親交を温める場であった会食の場

 厳しい条件下でも一番、例年とのギャップがあったのが外食・会食の禁止である。中田選手は「やっぱり、外で食べたい時もある」と、これまではオンとオフの切り替えの時間になっていたという。一軍の名護市内には「焼肉」「アグー豚しゃぶしゃぶ」「焼き鳥」など、チーム関係者が利用する名店が複数ある。そこに夜な夜な集うのが、恒例行事の1つでもあった。

 シーズン前に、ポジションごと、新加入選手らを含めた選手同士の親交を温める貴重な機会が、外食の場でもある。それぞれのキャラクター、人となりを知り、一気に距離が縮まったりもする。シーズンごとに顔ぶれが変わる報道陣と、球場外でコミュニケーションを取るキャンプならではの機会になることもあった。

 そんなストレスを少しでも軽減できるように、球団フロントとマネジャー陣で趣向を凝らした取り組みを行ったのである。オフ前日の夜は、チーム宿舎内の食事会場に特別メニューを用意。名護市内の飲食店に依頼して協力を得て、夕食をアップグレードした。寿司、焼肉、焼き鳥などを供した。食事会場に併設されたテラスも開放して、閉塞感に変化を加えた。盛況、好評だった。

例年とは違う一体感が生まれていた

 これまで外食に出かける頻度が多かったのが、オフ前日。選手たちは、いつもよりも長時間、食事会場に滞留していた。食事会場は円卓で、感染予防のためにパーテーションで区切られている。1卓で6人が、利用できる仕様になっていた。そのオフ前日を経るたびに、円卓を構成する顔ぶれが変わっていったのである。

 今回は、キャンプイン時に一軍メンバーにルーキー4人を含めて若手が多かった。外国人選手不在の影響もあり、抜てき組は例年以上だった。当初は所在なさそうに食事場所を探し、肩身が狭そうに見えた選手たちも、実績ある先輩たちの円卓に加わるようになっていた。例年のオフ前日は、外食する選手が多数のため食事会場は人影まばら。今年は食事会場が盛況で、多数で談笑しているシーンは、傍から見ていて微笑ましかった。例年とは違う、一体感が生まれていた。厳戒態勢下でのキャンプの1つの効用だったと思う。

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