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「何ビビってんだよ、お前」浦和MF武田英寿が戦っていた“恐怖”を振りほどけたワケ【2年目の飛躍】
posted2021/02/17 11:02
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Masashi Hara/Getty Images
昨季、J1リーグで10位に終わった浦和レッズ。復活を懸ける今季は徳島ヴォルティスをJ1昇格に導いたリカルド・ロドリゲス監督を招聘、積極的な補強も断行し、新たなスタートを切った。
その中でひと際存在感を放つのが、プロ2年目MF武田英寿だ。左足から繰り出される精度の高いパスとボールキープ力、そして高い得点力を兼ね備えた俊英アタッカーは、沖縄キャンプで行われた4つのトレーニングマッチで、全9得点のうち5ゴールを叩き出している。
「点を取るということが僕の一番の武器だと思っているので、そのポイントやスペースに入っていけるようになったことが大きいと思います。周りにはパスのイメージが強くて、あまりアタッカーのイメージを持たれていない。自分ではアタッカーだと思っているので、もっとゴールに絡んでいきたい」
ゴール前にいる回数が増えた
青森山田高校時代からフィニッシュの上手さには定評がありつつも、その左足のイメージが先行してか、“パサー”のイメージが強かった。だが、今季はロドリゲス監督のもと、その持ち味をさらに発揮できる環境が整ったと言える。
ロドリゲス監督が掲げるのは全体が攻守一体となって連動するサッカーだ。相手の陣形を読み取りながら、選手たちは次々とポジションを変えていく。相手の守備の隙間を見つけるや否や、パスやドリブルを使い分けて侵入するのだ。攻撃により多くの選手が関わるようになったことで、武田がゴール前のポジションまで入っていく回数が増えた。
水を得た魚のように躍動したキャンプを経た武田は、本拠地・埼玉スタジアムで行われたJ2・SC相模原との練習試合でも右サイドハーフとして出場。先制点の起点となるコーナーキックを任されるなど、浮上を目指すチームのキーマンとして期待が集まっている。
その表情は昨季と比べて明らかに変わった。プロで1年間戦ったことからくる自信なのか、それとも新たな指揮官のもとで持ち味を発揮できているからなのか。この変化の真相を知るべく、本人に思いを聞いた。