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菅野智之がいる、いないにかかわらず 2021年の巨人が解決すべき“泣き所”とは【記録で12球団総括】
posted2020/12/29 17:06
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Nanae Suzuki
7.5差をつけてのリーグ優勝、そして連覇。今年の読売ジャイアンツは万々歳のはずではある。しかしなぜか敗北感も交じるのは、日本シリーズの惨敗があったからだろう。今季の巨人の「功罪」を振り返ろう。
■2020年チーム成績
67勝45敗8分 勝率.598(1位)
打率.255(3位)本塁打135本(1位タイ)507打点(1位)80盗塁(1位タイ)
防御率3.34(1位)27セーブ(3位)96ホールド(2位)114被本塁打(4位)
本拠地東京ドームは、左右中間の膨らみが少なく、そろばん球のような形をしている。ホームランのパークファクターはリーグ2位の1.10。この利点を活かして巨人は強力打線を整備してきた。
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<今季の巨人打線RC(Runs Created 打撃面の総合指標)順>
1 丸佳浩 87.76
(423打120安27本77点8盗 率.284)
2 岡本和真 84.49
(440打121安31本97点2盗 率.275)
3 坂本勇人 77.96
(412打119安19本65点4盗 率.289)
4 吉川尚輝 48.39
(354打97安8本32点11盗 率.274)
5 大城卓三 40.33
(274打74安9本41点1盗 率.270)
6 中島宏之 40.02
(279打83安7本29点0盗 率.297)
7 松原聖弥 36.57
(278打73安3本19点12盗 率.263)
8 ウィーラー 32.76
(263打65安12本36点3盗 率.247)
9 亀井善行 14.88
(141打36安2本17点0盗 率.255)
10 パーラ 14.41
(146打39安4本13点0盗 率.267)
RC80前後の打者が3人もいる。間違いなくリーグNo.1の強力打線だった。吉川尚も規定打席に到達し、大城も「打てる捕手」の本領を発揮しはじめた。さらに昨年はさっぱりだった中島も、今季は勝負強さを見せた。
貪欲なことに、原巨人はシーズンが始まってから楽天からのオファーに応じてゼラス・ウィーラーを獲得した。亀井が故障し、パーラも期待外れとなった中で内野外野を守ることができ、ムードメーカーでもあった。
チームには、陽岱鋼というFA移籍で獲得した大物もいたが、ちゅうちょなく新戦力を積み上げることができるのが巨人というチームだ。
さらに巨人は今季、増田大輝という走りのスペシャリストが台頭した。試合終盤に代走として登場し、相手投手と守備陣にプレッシャーを与えることができる存在は、巨人では鈴木尚広以来だ。終盤には刺されるケースが増えたが、打撃面でも打率.297を記録するなど進境を見せた。増田が松原らとともに上位打線に加われば、スピード感も増す。