酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
菅野智之がいる、いないにかかわらず 2021年の巨人が解決すべき“泣き所”とは【記録で12球団総括】
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byNanae Suzuki
posted2020/12/29 17:06
屈辱の日本シリーズ2年連続のスイープ。巨人はここからどのようにもう一段階上の強さを手に入れるのか
なお興味深いのは今季の巨人の5週ごとの勝敗(11月14日は最終)、カッコ内は2位とのゲーム差と2位チームだ。
7月20日 16勝7敗1分 率.696 1位(3.0差 ヤクルト)
8月24日 30勝20敗3分 率.600 1位(4.5差 DeNA)
9月21日 48勝25敗4分 率.658 1位(10.5差 阪神)
10月19日 61勝35敗5分 率.635 1位(11.0差 中日)
11月14日 67勝45敗8分 率.598 1位(7.5差 阪神)
菅野智之が開幕から4連勝するなど10勝2敗1分と開幕ダッシュに成功した巨人は、ウィーラー、高梨という中途加入の選手の活躍もあり、8月後半、さらにエンジンがかかる。チーム72試合目の9月15日には、マジック38が点灯した。
しかしその直後に3連敗、10月以降に限れば13勝18敗4分という冴えない成績で、111試合目の10月30日に優勝を決めた。38のマジックナンバーを40試合かけて減らしていったのだ。
それでも“独走状態”が続いたのは、2位以下のチームが星のつぶし合いをして、誰も後続の馬群から抜け出さなかったからだ。2位チームが月ごとに目まぐるしく変わったことからもわかるように、巨人の牙城を脅かすチームはついに出なかった。
ペナントの緊迫感のなさがスイープを生んだ?
この緊迫感のなさが日本シリーズでの惨敗につながったという一面は否定できない。対照的にソフトバンクは、9月21日の段階では2位ロッテと1差、ここから一気にダッシュして最終的には2位ロッテに14ものゲーム差をつけたのだ。
巨人の優勝が締まらない形になったのは、他球団がだらしなかったことも大きいが、セ・パの「意識レベルの差」を感じさせた。
来季の巨人の展望は「菅野智之がいるのか、いないのか」で大きく異なる。そしてそれはセ・リーグペナントレースの最大の不確定要素でもあろう。
それだけ菅野智之という投手が偉大だということだが、彼がいるいないにかかわらず巨人はトレードだけでなく「育成」に尽力すべきだろう。
(関連記事よりDeNA編もご覧になれます)