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「カープを強くしたかった」石原慶幸、19年の捕手人生。
posted2020/12/31 07:00
text by
石田雄太Yuta Ishida
photograph by
KYODO
カープで19年間の現役生活を終えた石原慶幸に「生まれ変わったらもう一度、キャッチャーをやりたいか」と訊いてみた。
「やりたいけど、しんどいです。でも、しんどいけどやりたい(笑)。そのあたりがキャッチャーの醍醐味なんですかね。バッターとの駆け引きにはやり甲斐がありましたから」
石原の脳裏に刻まれた駆け引きが2年前の日本シリーズ第2戦にあった。カープが3点をリードした4回、ワンアウト一、三塁のピンチでホークスの柳田悠岐と対峙した場面、石原はクリス・ジョンソンに対してとことんインコースを要求する。
「じつは第1戦で、大瀬良(大地)と會澤(翼)のバッテリーが柳田に対してインコースへ突っ込んでいくのを見ていたんです。だから第2戦、柳田の1打席目はアウトコース中心の配球で攻めました(レフトフライ)。おそらく柳田は『今日は外を攻めてくるんだな』と思ったはずです。そこへ2打席目に徹底してインコースを要求して、ジョンソンもそれに応えてくれた。結果、空振り三振に打ち取れたというのは、してやったりという感覚がありましたね」