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【記録で12球団総括】大山悠輔・近本光司・梅野隆太郎で猛虎打線化 藤浪晋太郎の起用法…2021年阪神は夢がある
posted2020/12/29 17:05
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
JIJI PRESS
阪神タイガースというチームは創設以来、ほんの短い期間を除いてずっと「投手力のチーム」だった。そのことは忘れてはならない。
■2020年チーム成績
60勝53敗7分 勝率.531(2位)
打率.246(5位)本塁打110本(4位タイ)472打点(4位)80盗塁(1位タイ)
防御率3.35(2位)30セーブ(2位)80ホールド(5位)94被本塁打(1位)
本拠地・阪神甲子園球場のホームランのパークファクターはリーグ4位の0.91、左右中間の膨らみが大きいうえに、海浜が近く湿度が高いこともあって、本塁打が出にくいピッチャーズパークだった。
阪神の歴史で「打線」が活躍したのは、反発係数の高い「ラビットボール」時代の藤村富美男ら「ダイナマイト打線」(1950年前後)と、バース、掛布、岡田が打棒をふるった1985年前後くらいだ。左右中間に本塁打を出やすくするために設けられていた「ラッキーゾーン」が1992年に廃止されて以降、阪神からは本塁打王は出ていない。
それ以降の阪神にとって、課題は常に「打線の強化」だったと言ってよい。
打線の強化に光明が見えた1年だった
今季は久々に光明が見えたシーズンではあった。
<今季と昨年の阪神打者のRC5傑(Runs Created 打撃面の総合指標)>
〇2019年
1近本光司 72.59
(586打159安9本42点36盗 率.271)
2大山悠輔 66.8
(538打139安14本76点3盗 率.258)
3糸井嘉男 65.59
(382打120安5本42点9盗 率.314)
4糸原健斗 62.81
(491打131安2本45点6盗 率.267)
5マルテ 57.76
(349打99安12本49点0盗 率.284)
〇2020年
1大山悠輔 77.74
(423打122安28本85点1盗 率.288)
2近本光司 71.83
(474打139安9本45点31盗 率.293)
3サンズ 61.86
(377打97安19本64点2盗 率.257)
4ボーア 45.28
(329打80安17本45点1盗 率.243)
5梅野隆太郎 38.79
(298打78安7本29点5盗 率.262)
RCは積み上げ型のデータだ。普通ならば試合数が多かった2019年の方が数値が高くなるはずだが、今季の方が1、2位の数字が高い。昨年よりも打線が強化されたということだ。