酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
菅野智之がいる、いないにかかわらず 2021年の巨人が解決すべき“泣き所”とは【記録で12球団総括】
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byNanae Suzuki
posted2020/12/29 17:06
屈辱の日本シリーズ2年連続のスイープ。巨人はここからどのようにもう一段階上の強さを手に入れるのか
オフに巨人はDeNAから梶谷隆幸を獲得した。機動力も長打もある外野手で、当たりだしたら手が付けられないタイプでもある。デッドストックを恐れずに補強に次ぐ補強をするのが巨人の伝統ではあろうが、これによってまた力がありながらベンチを温める選手が出てくることになる。
投手陣は菅野の成績が圧倒的な一方で
<今季の先発投手陣成績>※田口は先発成績だけを抽出
菅野智之 20試14勝2敗137.1回 率1.97
戸郷翔征 19試9勝6敗107.2回 率2.76
サンチェス 15試8勝4敗87.2回 率3.08
田口麗斗 14試5勝5敗78.2回 率4.58
畠世周 12試4勝4敗65.2回 率2.88
今村信貴 12試5勝2敗62.2回 率3.16
メルセデス 11試4勝4敗58回 率3.10
菅野の圧倒的なパフォーマンスが今季巨人の優勝の最大の原動力なのは間違いないところだ。沢村賞は逸したがMVPを受賞したのは当然だろう。
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しかしながら、それ以下の先発投手の顔ぶれは、阪神に比べて見劣りがする。「菅野恃み」の先発投手陣だと言えるだろう。
来季、菅野はポスティングシステムでMLBへの移籍を希望している。新型コロナ禍で揺れるMLBへの移籍がかなうかどうかは予断を許さないが、もし菅野が巨人先発陣から離脱すれば、大きな損失となる。
“菅野なし”だと貯金は17→5に激減
<巨人の先発投手陣の成績>
120試合 51勝34敗
3完投3完封 678回 551三振 防御率3.20
<菅野を抜いた成績>
100試合 37勝32敗
0完投0完封 530.2回 320三振 防御率3.58
貯金は17から5に激減する。菅野が抜けると先発陣は“二線級”に落ち込むと言ってよいだろう。DeNAから井納翔一を獲得したが、彼の今季成績は6勝7敗、防御率3.94。来季は35歳である。新外国人投手の獲得も噂されているが、菅野が抜ければ「未知数の戦力」への依存が高くなる。
巨人の伝統的な泣き所、リリーフ
それに加えて巨人が伝統的に「泣き所」にしているのが救援投手陣だ。巨人は、自前で優秀な「勝利の方程式」を作ることがなかなかできない。