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【引退】木村拓也、星野仙一、松坂世代…支えられたプロ18年、楽天・久保裕也が指導者として伝えたいこと
 

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田中大貴

田中大貴Daiki Tanaka

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photograph byKyodo News

posted2020/12/28 17:03

【引退】木村拓也、星野仙一、松坂世代…支えられたプロ18年、楽天・久保裕也が指導者として伝えたいこと<Number Web> photograph by Kyodo News

今季限りで引退を表明し、来季からは楽天二軍投手コーチに就任する久保裕也。プロ通算506試合登板、54勝37敗37セーブ113ホールド

久保の探究心は指導者向き

――最後に、以前から聞いてみたかったことを1つ質問してもいいでしょうか。東海大時代の久保コーチは速球タイプの投手だったと思います。ただ、長く現役生活を過ごしていく中で、年齢とともに速球の質が落ちたり、あるいはケガによる手術を経験するとそこに頼れなくなる。でも真っ直ぐという球種はピッチャーをしていく上では絶対に必要ですよね。そのあたりはどう向き合ってきたのでしょう?

 大学時代はただ目一杯投げているだけでした。ただプロに入ると、ちょっとシュート回転すれば簡単に打ち返される。そこは追求してもなかなかうまくいくものではなかったんですけど……ただ、イーグルスに来てからは真っ直ぐの質がだいぶ良くなったんですよ。

――30代後半に向かっていくにつれて?

 今年はダメだったんですが、イーグルスに入団して以降、毎年のように球速は上がっていたんです。1年目が145キロで、2年目が146キロ。3年目で148キロまでいった。まだ腕を振ったらスピードは出る。でも今の野球は155キロぐらい投げないと「速い」とはならない時代になりました。僕が目一杯投げて148キロを出したところであまり速くない。そこで追求したのはスピンの効いたストレート。球速は142、3キロでもいいから、スピンの効いた強いボールを投げることを考えていたんです。

――それはどこを意識するんですか?

 リリースですね。腕を振るとき(投げるとき)に、本来は腕が下に向かうところから力を入れ始めればいいんですけど、力めば力むほど、腕が上がってる最中に力を入れてしまう。そうすると、どうしてもシュート回転してしまう。力の入れどころを意識してちょっと工夫してみるだけで、遠投でも低い弾道で落ちない球が投げられるようになりました。そういう細かいところを追求していくのがすごく楽しくて。

40歳になっても尽きない向上心

――意識を変えただけなんですね。

 そうですね。それで後輩にも同じことを試してもらって、それが他の選手にもハマるのかどうかも確認したんです。選手によって合う、合わないは必ずあるので、自分の理論が通用するか確認したかったんです。やっていることが一緒だったとしても、それこそ体の使い方が違えば、僕と同じ感覚にはならない。僕は後輩にいろんなことを言うけど、言ったことは必ず僕も1度試して、僕が感じたことと後輩が感じたことを照らし合わせます。その後輩が感じたことにもヒントがあったりもする。そういう考え方をイーグルスに来てからはずっと持ってやってきた。年下の選手たちと会話することは僕の成長にもつながってたんですよ。

――なるほど、こういった会話や指導によって技術の成長があるんですね。コーチとしての活躍を大変楽しみにしております。ぜひまた新しい知見を得たら取材させてください。

 ぜひ、お願いします(笑)。

――ありがとうございました。

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