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【引退】木村拓也、星野仙一、松坂世代…支えられたプロ18年、楽天・久保裕也が指導者として伝えたいこと
posted2020/12/28 17:03
text by
田中大貴Daiki Tanaka
photograph by
Kyodo News
――引退を発表されてから少し時間が経ちました。この間、心の動きはありましたか?
イーグルスでプレーさせてもらった4年間は、とても充実した時間になりました。自分の中でやりきったと思える時間を過ごせたので、もう思い残すことはありません。今は次のステップに向かっていて、コーチ1年生として、選手たちと一緒に僕自身も成長していかなきゃいけないと思っています。可愛がってきた後輩たちを、今度は指導する側に立つわけなので気を引き締めないといけない。この中から1人でも多く一軍で活躍してもらいたいと、完全に気持ちのシフトチェンジはできていますね。
――引退は、いつぐらいからイメージしていたんですか?
イーグルスに入団した時(17年)から「最後の球団にする」と決めていたので、言われたら辞めるというスタンスで過ごしてきました。シーズンが終わったあと、球団から「来季は選手ではなくコーチとして」というお話をいただいて、特に考える時間はなかったです。
「自分に腹が立ったんです」
――今年は難しいシーズンになりました。引退が頭をよぎることもあったのでしょうか?
今年に限っては調整が難しかったということもありましたし、二軍でもなかなか結果を残せなかった。それに若い選手たちが頑張っている姿を近くで見てきた分、自分から身を引くのもありかなと一瞬考えました。でも、野球がやりたいという強い思いを買ってもらってイーグルスに入団したので、シーズン途中に少しでもそんな気持ちになってしまった自分に腹が立ったんです。だから、球団からそういう話をされるまでは最後までやりきると決めました。一回でもそういう気持ちになったことは反省です。
――「反省」なんですね。
野球を失うかもしれないという状況で拾ってもらった立場なので、その恩返しの1つとして、中途半端な気持ちでいたことは反省しています。
――もし、告げられていなかったら来年もプレーしていた?
それは、もちろんです。成績を残せるかどうかは別として、身体はまだまだ若い選手と同じぐらい動けますよ。