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<取材記者の本音>正直ガッカリのプロ野球トライアウト…キラリ光った楽天戦力外の“フルスイング”外野手とは?
posted2020/12/11 17:15
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
Nanae Suzuki
“流しのブルペンキャッチャー”として全国各地、数多くのアマチュア選手を取材してきた筆者。ドラフト候補を長年にわたって“発掘”してきた目に「プロ野球トライアウト2020」はどう映ったのか――?
長い間、野球に関わる仕事をしていて、「プロ野球トライアウト」を見たのは、じつは初めてになる。
今季で自由契約になった選手たちが、次のステージを目指して、12球団関係者の前で実力を披露する。つまり、「オーディション」である。
エントリーしている選手たちのプロフィールが一覧表になったものが、取材者に渡されるのだが、その中に「アピールポイント」という項目があり、「速球のスピードを見てほしい」「広角に打てるバットコントロール」とか、具体的に書いてある。
本人のコメントなのか、球団が作ったものなのか……ファームが主な働き場だった選手が多く参加しているので、とても助かる。
どうしたわけか、みんな大人しい
「思いきりのいいスイング」をアピールしている選手が、バックネットに向かってティーバッティングを繰り返している。なのに、自慢のはずのスイングに“勢い”がないのは、どうしたわけか。なんとも勿体ない。
見せたいはずの12球団関係者が、選手たちとちょうど向き合う真っ正面にいるのだから、これ以上のアピールの場はないはず。
私が選手なら、3連打、5連打のティーバッティングを披露して、「これでどうだ!」とアピールしようと思うだろうが、どうしたわけか、みんな大人しい。
1人の投手が3人の打者と対戦する形のシートバッティングが、静かに進行していく。