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【引退】“ら”から這い上がった曽ケ端準の23年間 ジーコが語った「すべての選手はソガを目指すべき」 

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池田博一

池田博一Hirokazu Ikeda

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2020/12/24 20:00

【引退】“ら”から這い上がった曽ケ端準の23年間 ジーコが語った「すべての選手はソガを目指すべき」<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

現役引退を表明した曽ケ端準。常勝軍団を最後尾から支え続けてきた

「ミスをしたときこそ、聞きに来てほしい」

 変わらない姿勢がある。

 試合後のメディア対応の際は、“ミスがあっても、いつもと変わらず聞いてほしい”ということだ。

 GKをはじめ、ディフェンスの選手は失点にからむ機会が多いもの。1つのミスが失点に直結する残酷なポジションでもある。人間誰しも失敗やミスをすれば下を向いてしまう。できればあまりふれてほしくないのが、本当のところではないだろうか。

 曽ケ端は違う。

「なぜ聞きに来てくれなかったのか。ミスをしたときこそ、聞きに来てほしい。これまで何度もミスをして失点したことはある。でも、取材する人には優勝したり、勝ったときと同じように話を聞きに来てほしい」

 試合後のメディアへの囲み取材。ミスが敗戦につながった場合、選手によっては落ち込んでいることがすぐにわかったり、ときに目を真っ赤にして取材エリアに出てくることがある。プロとして真剣勝負への思いが直に伝わる場面の1つだ。

 話を聞く側も人間である。ミスをすれば、やっぱりどこか聞きにくい。“それでも聞くのがプロの仕事でしょう”。そんなメッセージとして受け取った記者は少なくない。

任された寮長、新人にもベテランにも厳しく

 独身時代、選手寮の寮長を長く任された。自分に対してはもちろん、チームメイトにもプロとしての姿勢を求めた。寮の入り口に車を止めたまま食事をする選手がいれば、駐車場に止めるよう注意。クラブハウスで出しっぱなしのシューズがあれば注意。取材エリアを素通りする選手がいれば、「取材を受けろ」と注意。それが新人であってもベテランであっても、対応は変わらない。日々の練習では、遅くとも1時間前には来て準備。練習前にロッカー前のソファーでテレビを見ながら指にテーピングを巻く曽ケ端の姿は、いつもの光景だった。

 これを23年間、続けてきた。

 慢心を感じさせない、いつも変わらぬ姿勢を貫いた。チームを引き締める上で多くの役割を果たし、アントラーズ伝統の堅守を象徴する選手だった。

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