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移籍1年目の山根視来が見たフロンターレの異質さ 何連勝しても「反省が先」、指揮官が求める「1試合3点」
posted2020/12/25 17:01
text by
林遼平Ryohei Hayashi
photograph by
J.LEAGUE
コロナ禍の異例のシーズンを駆け抜けて頂点に立ったのは、他とは明らかに異質なチームだった。
2位に勝ち点差18をつけての独走優勝、最多連勝記録更新、史上最多のベストイレブン9人、最多得点、最多勝ち点……まさに過去最強と呼ばれておかしくないほどの記録を打ち立て、川崎フロンターレは2020シーズンの明治安田生命J1リーグを制した。
3連覇を逃した昨年の悔しさを晴らしての見事な奪還劇。新システムの導入や5人交代制の有効活用、層の厚さを駆使して対戦相手をバッタバッタとなぎ倒していった今季の川崎は、例を見ないチームとして今後も語り継がれることだろう。
果たして、この圧倒的な強さの源はどこにあったのか。
移籍1年目で優勝&ベストイレブン
疑問の答えを求めるにあたり、これまで在籍していた選手に聞くのが最善のようにも思う。ただその一方で、今年チームに加入した選手の目に川崎がどのように映ったのかが気になった。
今季、大卒新人を除けば、他クラブから川崎に加入した選手は3人しかいない。その中で、最終ラインの一角として1年目からフル稼働した山根視来は、シーズンを通して攻守に貢献。積極的な攻撃姿勢を前面に発揮して4ゴール6アシストの記録を残し、シーズン終了後には自身初のベストイレブンに名を連ねた。
移籍1年目でリーグ優勝に加え、個人賞も受賞。さぞ満足のいくシーズンを過ごしたと思うだろう。だが、山根の口から出てくる言葉にはどこか他人行儀な雰囲気を感じさせた。
「光栄なことだと思っています。ただ、試合には出ていましたけど、正直、全然満足していないんです」
頭にハテナが浮かんだ。これだけのパフォーマンスを見せながら、なぜ満足できないのか。すると、山根は苦笑いしながら続けた。
「練習するたび、試合するたび、自分のレベルの低さを痛感するんです」