“Mr.ドラフト”の野球日記BACK NUMBER
年間47&151も違う…「パ高セ低」を示す2つの数字 セ・リーグに“攻撃的精神”が求められるワケ
posted2020/12/17 11:02
text by
小関順二Junji Koseki
photograph by
Nanae Suzuki
2年続けてソフトバンクvs.巨人の顔合わせになった日本シリーズは、昨年同様にソフトバンクが負けなしの4連勝を飾った。この結果に連日のよう「パ高セ低」の議論が沸き立っている。筆者は2015年11月に『間違いだらけのセ・リーグ野球 パ・リーグばかりがなぜ強い!?』(廣済堂新書)という本を著しているので、現在の状況を不思議に思うことはない。
ただ、グローバル化が進む野球界の究極の目標は、セとパの争いではなく、WBC(ワールドベースボールクラシック)やオリンピックなどの国際大会で優勝することに変わってきている。そのため、パが片翼飛行のように独走する現状は好ましくないと思っている。
セの野球はパの野球にくらべて、どこが劣っているのだろうか。
パの13勝、セの3勝
一言で表せば、セはパの“攻撃的精神”に押し潰されている印象だ。
2005年以降、16年間の日本シリーズの成績はパの13勝、セの3勝である。パの勝者はソフトバンク7勝、日本ハム2勝、ロッテ2勝、西武1勝、楽天1勝と5球団にわたっている。楽天と西武は巨人に、ロッテは阪神と中日に、日本ハムは中日と広島に、ソフトバンクは中日、阪神、ヤクルト、DeNA、広島、巨人に勝っている。つまりこの16年間、日本シリーズに進出したオリックスを除くパの球団はセの全チームに勝っていることになる。
ちなみに、05年を起点としている理由は、その前年に球界を1リーグにする動きがあったからだ。これに選手会や多くのマスコミ、ファンが反発し、その結果、交流戦の導入やドラフトの見直しなど、さまざまな改革が実行され、球界の仕組みが以前と変わった。
オリックスと合併した近鉄の穴を埋める形で楽天が球界に参入した結果、東京・横浜に3球団が本拠地を置くセに対して、パは札幌・仙台・所沢・千葉・大阪・福岡に本拠地を置く理想的なフランチャイズを実現した。
そして、この05年を境に「パ高セ低」現象が顕著に現れるようになった。