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年間47&151も違う…「パ高セ低」を示す2つの数字 セ・リーグに“攻撃的精神”が求められるワケ 

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byNanae Suzuki

posted2020/12/17 11:02

年間47&151も違う…「パ高セ低」を示す2つの数字 セ・リーグに“攻撃的精神”が求められるワケ<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

効果的な内角攻めで巨人打線を封じ込めたソフトバンク。日本シリーズ第1戦のエース千賀の投球は、大きな分岐点となった

別のデータでは「150」以上の差が

 “攻撃的精神”が見て取れるのは投手のデータだけではない。盗塁数でも両リーグでは差があった。16年以降の推移を見ていただきたい。

<2016年〜2020年の盗塁数の推移>
セ・リーグ/448→404→433→429→362
パ・リーグ/573→441→600→540→513

 MLBでは失敗率3割の盗塁を有効な戦術として見ていないようで、かつて日本一に導いたトレイ・ヒルマン(元日本ハム)、ボビー・バレンタイン(元ロッテ)でさえも監督就任当初はシーズン2ケタからスタートした。初めて盗塁数が100を超えたシーズンはそれぞれ05年と07年。05年は日本ハムが日本一に、07年はロッテがリーグ優勝を果たしている。最後まで盗塁に価値を見出せなかったアレックス・ラミレス(前DeNA前監督)とは対照的だろう。

 20年の数字を見ると、巨人80、阪神80、ヤクルト74、広島64、中日33、DeNA31のセに対して、パはソフトバンク99、オリックス95、ロッテ87、西武85、日本ハム80、楽天67。何と年間150個以上の差がついているのだ。

 DH制、ドラフト1位のくじ運など、「パ高セ低」の原因はさまざまに議論されているが、ゲームにおける“攻撃的精神”が両リーグではまったく異なるというところにセの各指揮官は目を向けたほうがいいのかもしれない。

ドラフトの姿勢にも差がある?

 こういう違いはドラフトにも見える。競合を覚悟して桁違いの剛腕やスラッガーに向かうのか。あるいは60~70点の活躍が期待できる大学生や社会人か。果てまた0点か100点かわからない高校生か。

 たとえば昨年のドラフトでは、高校生ナンバーワンと謳われ、高校時代から最速163キロを計測した佐々木朗希(大船渡高→ロッテ)に入札したのはパ・リーグの日本ハム、ロッテ、楽天、西武の4球団だったのに対し、セ・リーグはゼロ。ヤクルト、阪神、巨人が奥川恭伸(星稜高・投手→ヤクルト))、中日が石川昂弥(東邦高・三塁手)、広島が森下暢仁(明治大・投手)、DeNAが森敬斗(桐蔭学園高・遊撃手)という人選だった。高校生3人へ向かったことは評価したいが、公立高校で3年間育った佐々木ほどリスキーな人選ではない。

 また今年のドラフトでもパの単独指名は日本ハムだけで、それ以外の5球団は複数球団の指名が競合した選手に向かっている。一方のセは中日(高橋宏斗/中京大中京高・投手)、DeNA(入江大生/明治大・投手)、広島(栗林良吏/トヨタ自動車・投手)と単独指名だった。

【次ページ】 パの選手たちに目立つ“冒険心”

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