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選手に嘘を言わせて…韓国パラリンピック柔道元監督の卑劣な不正手口と“事件”が繰り返される理由 

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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posted2020/12/15 17:00

選手に嘘を言わせて…韓国パラリンピック柔道元監督の卑劣な不正手口と“事件”が繰り返される理由<Number Web> photograph by Getty Images

柔道に限らず、パラリンピックの歴史には不正が付きまとってきた

シドニーパラリンピック不正の影響は大きかった

 有名なのは、2000年のシドニーパラリンピックで起きた出来事だ。知的障害バスケットボールで優勝したのはスペインだったが、12名の代表選手のうち10名は知的障害があるかのように装っていた健常者であったことが発覚したのだ。

 その影響は多大であった。2012年のロンドンパラリンピックまで、バスケットボールに限らず、知的障害者はパラリンピックに出場できなくなった。どの競技であってもだ。

 その後も、自身に有利になるよう、偽装する動きがなくなることはなかった。

 国同士の駆け引きもある。他国からあらためてチェックするよう、リクエストが出ることもある。

 不正の有無に限らず、クラス分けについては近年も議論が巻き起こってきた。

 例えば車いすバスケットボールは、国際パラリンピック委員会(IPC)から国際車いすバスケットボール連盟に対し、クラス分けに関しての疑問が投げかけられた。障害の軽いクラスに関してIPCの考える基準と異なっているとし、見直さなければ東京パラリンピックから競技を除外することもある、と警告が発せられた。

 そのクラスには、いわゆる「花形選手」が多かったから世界的な動揺が起きたが、国際連盟は該当する選手たちの再審査を進めた。

 結果、日本では女子選手1名が不適格となり、パラリンピックに出場する資格はないとされた。

 これは不正云々とは違った形で現場を振り回すことになった例だが、それくらいクラス分けを通じて公平性を重んじているのだ。

 今秋、日本パラリンピック委員会がオンラインでアスリートミーティングを開催した際には、参加した選手から、国際大会が行なわれていない中で障害に応じたクラス分けがどのようにされるのか不安の声が上がったという。選手もまた、クラス分けの重要性を自覚しているし、公平性への意識も高い。

「危機的な事態」と言う関係者も

 それだけに、韓国のパラ柔道において発覚した不正はパラリンピック競技全体に衝撃を与えている。今後、どの競技であれ、あらぬ疑いの目が投げかけられる可能性が考えられることから「危機的な事態」と憂慮する関係者もいる。

 オリンピック競技であれ、パラリンピック競技であれ、人間が取り組むものであり、だからときに不正が起こる。ドーピングもそうだ。

 ただ、すべてを根底から揺るがしかねない今回の一件はかつての不正をあらためて想起させ、今後も課題としてあり続けるであろうことを思わせる。

 戦いは続いていくことになる。

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