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【記録で回想】ラミレスは凄いが「クセも凄い」 四球嫌いと“ドラフト下位&脇役を抜擢”できたワケ 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph byJIJI PRESS/Shigeki Yamamoto/Hideki Sugiyama

posted2020/12/15 11:03

【記録で回想】ラミレスは凄いが「クセも凄い」  四球嫌いと“ドラフト下位&脇役を抜擢”できたワケ<Number Web> photograph by JIJI PRESS/Shigeki Yamamoto/Hideki Sugiyama

ヤクルト、巨人、DeNAと渡り歩いたアレックス・ラミレス。選手と監督、それぞれでクセが凄かった

戦力的に弱いチームの監督が向いている?

 最後に5年間のチーム成績と「ピタゴラス勝率」との差異を見よう。ピタゴラス勝率(P率)とは得失点から割り出した勝率だ。

2016年 69勝71敗3分 率.493/3位 P率.486
2017年 73勝65敗5分 率.529/3位 P率.499
2018年 67勝74敗2分 率.475/4位 P率.443
2019年 71勝69敗3分 率.507/2位 P率.488
2020年 56勝58敗6分 率.491/4位 P率.542

 今年を除いて実際の勝率がピタゴラス勝率を上回っている。端的に言えば、手持ちの戦力で、実力を上回る結果を出してきたということだ。今季に関しては逆の傾向となったが、他の4年間において、この勝率の観点だとラミレス監督は大健闘したと言ってよいだろう。

 つまり、ラミレス監督は戦力的に弱いチームの指揮官として適任だったといえるのではないか。

監督になっても子供にファンサービス

 筆者は毎年春季キャンプに行く。キャンプ地の雰囲気はチームカラーや指揮官のキャラクターでずいぶん変わる。中には秘密主義で暗い印象のチームもあるのだ。

 ラミレス監督になってから、ベイスターズの春季キャンプは明るくなった。

 春季キャンプには近くの幼稚園児たちが引率されてよくやってくる。ラミレス監督はそういうかわいらしい集団を見つけると、自ら近寄って記念写真に応じるのだ。子供よりも幼稚園の先生の方が大喜びしていたが、筆者はこの光景を見ていっぺんにラミレス監督の好感度がアップした。

 他球団の監督はグラウンドレベルから観客席にやってくることはほとんどない。しかしラミレス監督は、こういう形でのファンサービスの重要さも知っていたのではないか。

 一言で表現するなら、クセの強い野球人、アレックス・ラミレスは「日本の野球人が見逃しがちなものを、しっかり見ていた」のではないだろうか。

 だから異国で成功できたのだろう。今後の活躍にも期待したい。

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