審判だけが知っているBACK NUMBER
<私が裁いた名勝負>野村監督は私を福の神だと思っていたかも(笑)。
text by
芦部聡Satoshi Ashibe
posted2020/12/15 07:00
谷博さん
語り継がれる名勝負をその演者のひとり、審判が振り返る。彼しか知らない新たな景色が見えてくる。
1992年 日本シリーズ 第7戦
西武 2対1 ヤクルト
10月26日/神宮球場
'92年日本シリーズの最終戦。ヤクルトは岡林、西武は石井丈が先発。ヤクルトが4回、飯田の二塁打から犠打と失策で先制すると、西武は7回2死一、二塁で石井丈の適時打が出て同点に。その裏のピンチを凌ぎ、10回に秋山の中犠飛で勝ち越すと、3年連続の日本一を達成した。
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34年間の審判員人生で日本シリーズに出場したのは通算10回を数えますが、やはり初出場となった’92年がいちばん印象に残っています。日本一になるために日々努力を重ねる選手たちと同じく、審判員にとっても日本シリーズは憧れの舞台。プロ野球の審判員になった者ならば、必ずや日本シリーズに出場したいと願うはずです。