フランス・フットボール通信BACK NUMBER
スイス出身のドルトムント監督に「ブンデスリーガは世界最高だと言えますか?」とぶつけてみたら……
posted2020/12/12 06:01
text by
アレクシス・メヌーゲAlexis Menuge
photograph by
Alexandre Simoes/BVB
ドルトムント監督ルシアン・ファブルインタビュー。若い才能たちのことを語った前編から、コロナ禍でチームを率いることの難しさ、他のどこよりもコロナへの対応が早かったドイツの状況、さらには自身の未来へと話題は移っていく。(全2回の2回目/#1より続く)
(田村修一)
◆◆◆
コロナがもたらした「前代未聞の難しさ」とは
――このコロナ禍を、あなたは監督としてどう過ごしていますか?
ファブレ 何よりもまずプロトコルを遵守する。その点に関して選択の余地はない。ただ、この状況は、組織面での日常的な仕事を複雑にしている。
――どういうことですか?
ファブレ 数日前に私たちは、1日で親善試合を2試合戦った。最初が15時半キックオフで、もう1つは夕方のキックオフだった。アーリング・ハーランドはネーションズリーグのためにその日の夜にはノルウェーに戻らねばならないから、私は彼を第1試合で起用せざるを得なかった。もしも第2戦に出場していたら、帰国は翌朝になり検疫もあって試合には出られなかった。この例が前代未聞の状況の難しさを物語っている。
――では3月の時点で、半年後も状況は相変わらず困難だと想像しましたか?
ファブレ 当初は専門家たちも『ちょっとした流行に過ぎない』と高をくくっていた。ところが瞬く間に、病院は陽性患者と死者でいっぱいになった。そこではじめて私たちは、この病気はただごとではないと理解した。
それから半年がたち、ウィルスは再び拡散しはじめスタンドにいつサポーターが戻ってこられるか定かではない。ワクチンが開発されるまでこの状況は続くだろう。
――個人的にも仕事に影響が及びましたか?
ファブレ 一生に一度あるかないかの経験で、だからこそ確固たる対応が迫られる。ポジティブな気持ちを忘れずに常に前を向いて歩き続ける。今言えるのはそれだけだ。
運が良かったのは、私たちは5月半ばに練習を再開し、リーグも再開できたことだ。ただ、無観客での再開は、経済面でもまたモチベーションの面でも影響は大きかった。
CLのベスト16でPSGに敗れたことは……
――CLファイナル8(8月12~23日、リスボン)のパリ・サンジェルマンの組み合わせ表(準々決勝がアトランタ・ベルガモ、準決勝がRBライプチヒとアトレチコ・マドリーの勝者でライプチヒが勝ち上がった)を見たとき、ラウンド16でPSGに敗れたのは返す返すも残念とは思いませんでしたか?