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「将棋の銀はボランチに似ています」広瀬章人八段に解説してもらった“将棋とサッカーの共通点” 

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君島俊介

君島俊介Shunsuke Kimishima

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photograph byShigeki Yamamoto

posted2020/11/16 11:02

「将棋の銀はボランチに似ています」広瀬章人八段に解説してもらった“将棋とサッカーの共通点”<Number Web> photograph by Shigeki Yamamoto

アーセナルファンの広瀬八段。お気に入りのエジルのユニフォームを持参してくれた

佐藤天彦九段「将棋もサッカーもスペースが大事なんですよ」

広瀬 あと、佐藤天彦九段がさらっと言っていたことなんですけど「将棋もサッカーもスペースが大事なんですよ」と。将棋も1マスのスペースで玉が逃げられて詰まないとか、歩が打てるから差がつくとか、スペースが大事なことも共通点ですね。

――たしかに、ピッチを見て、ここが空いているなと思ってパスを出すとか、俯瞰するということですね。

広瀬 そうですね。あとは相手の欠陥を突くことですね。狭いエリアでも、桂はまっすぐには進めないですが、頭に歩を打つスペースを作るのを狙うとか、桂を跳ねさせて隙を作るとか。パスを回して引きつけるような感じです。

 ところどころ共通点はあるのですが、サッカーは戦略通りにいっても個人のミスがあるということが決定的な違いですね。将棋では着手をミスすることはほぼないですし、狙いが実現すれば有利になりますが、サッカーではパスがずれたり、トラップを失敗してカウンターを浴びたりしますので、そこは違いですし、面白いところだと思いますね。

――あと棋風とサッカーチームの“カラー”って何か共通点はありますかね。

広瀬 たとえば、ベンゲル監督はアーセナルが長かったですよね。で、その間にサッカーの戦術は大きくは変わっていなかったと思うんです。棋士もベテランだと、最新の戦法に変えるのは大変で、昔の戦法を軸に考えることが多いのは似ています。本人的に新しい戦術を取り入れているつもりでしょうけど、なかなか変える決断をするのは大変だと思います。

――たしかにプレミアを見ていると、長年やっている監督で最新のトレンドでなくても、中堅クラブを転々としてなんとなく勝っているケースがありますよね。

広瀬八段以外のサッカーファンは誰がいますか?

――先ほど、サッカー好きな将棋関係者が多いとおっしゃっていましたね。サッカーファンの棋士はどういう方がいますか。

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