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またも白鵬・鶴竜不在の11月場所、やはり“優勝本命”は… 大関・朝乃山&貴景勝にチャンスはある?

posted2020/11/08 11:00

 
またも白鵬・鶴竜不在の11月場所、やはり“優勝本命”は… 大関・朝乃山&貴景勝にチャンスはある?<Number Web> photograph by KYODO

10月の合同稽古に参加した白鵬(左)と正代(両国国技館の相撲教習所で)。白鵬は11月場所を休場する

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荒井太郎

荒井太郎Taro Arai

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 1年納めの11月場所は8日に幕を開ける。先場所、熊本県出身初の優勝力士となり大関も手中に収めた正代は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で準ご当所の九州場所に胸を張っての“凱旋”とはいかず、福岡から会場変更した東京・両国国技館で大関初お披露目となる。

 28歳10か月での大関昇進は年6場所制となった昭和33年以降に初土俵を踏んだ力士としては史上7位の高齢記録。場所前の5日に29歳の誕生日を迎えた新大関はもう若い年齢ではないが、相撲ぶりは今が最も脂が乗り切っている時期だ。

白鵬・鶴竜不在、やはり優勝本命は…

 東農大2年のときに学生横綱に輝くと角界入り後は2年足らずで新入幕というスピード出世を果たし、さらにその1年後には関脇にも昇進。早くから目を引く逸材だったが、その後は2年以上も平幕に燻り続けることになる。腰高の体勢で胸を大きく広げたセオリー度外視の立ち合いに低迷の要因を求める声は少なくなかった。相手の圧力をまともに受け、土俵際まで攻め込まれて何とかしのぎながら勝機を見出すという、当時は受け身の相撲だった。本人も「あれは癖だから直らない」と改善には消極的だったが、上体は反っても下半身がぶれないのが正代の非凡なところ。体重も増え、更なる下半身強化に取り組んだことで独特な立ち合いは馬力を増していき、眠れる素質は開花していった。

 1月場所は最後まで優勝を争って13勝。3年ぶりに三役に復帰した翌3月場所から関脇で8勝、11勝、13勝の優勝で一気に大関の座を射止めた。この勢いにも乗じて周囲はさらに上の地位を期待するが、本人は「今の段階では難しい。まず、大関として存在感を示してからだと思います」と冷静に自身を見つめる。それでも先場所に続き、白鵬、鶴竜の両横綱が休場となった今場所の優勝の本命を挙げるとすれば、やはりこの男だろう。

 立ち合いで強く相手に圧力をかけ先手を取る相撲が確立されたとはいえ、押し相撲タイプにはやや分が悪い。ポイントはやはり序盤の5日間をどう乗り切っていくか。新大関ならではのプレッシャーも圧し掛かってくるだろう。そういう意味では初日に西前頭筆頭の若隆景、2日目は東前頭筆頭の霧馬山との対戦が組まれ、いずれもしぶとく一筋縄ではいかない相手ではあるが、普段どおりの立ち合いでいけば一気に持っていかれることはないだろう。スタートダッシュで波に乗りたいところだ。

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