プロ野球PRESSBACK NUMBER
森友哉がいる西武からのドラフト指名をどう思った? 新人捕手・柘植世那の奮闘と対話力
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byKyodo News
posted2020/10/15 11:02
2019年ドラフトで西武に5位指名された捕手・柘植世那。自慢の強肩でチームの勝利に貢献している
所沢移転後の「3000勝」を演出
「失点をしたあと、浜屋が強気で行けるよう話をしました。変化球でカウントがとれないために、試合の流れが悪くなってしまっていると感じました。ストレートを増やして、リズムを作っていこう、って……」
浜屋の長所は「タイミンを取るのが難しいフォーム」だと柘植は感じていた。
「キレのあるボールを持っているピッチャーです。真っすぐもそうだし、変化球もしっかり腕を振って投げてくれば、打者はタイミングを取るのが難しいはず。そういったタイミングを外す術とか、フォームの独特さを相手は嫌がるんじゃないかなって思っていました」
しっかりと腕を振るため、まずは力まず、向かって行く姿勢を思い出してもらえるよう言葉をかけた。3回から立ち直った浜屋はその後3イニングス無失点を続け、5回2/3の1イニングスを投げ、味方の反撃もあって勝利投手となった。
浜屋と柘植のルーキーバッテリーが、ライオンズが所沢に移転してからの3000勝を演出したのである。
まずは敵よりも味方の特徴をつかむ
それにしてもキャッチャーというポジションは過酷だ。特に新人のキャッチャーは、新しくチームに合流したあと、覚えることが山のようにあることは容易に想像がつく。柘植は契約から入団発表、新人合同自主トレーニングと、どのような毎日を過ごしたのか。
「まずはやはり自分たちのチームのピッチャーの特徴を生かすことが大事だと思っています。そして、生かすためにはしっかり特徴をつかむ。その次に相手打者ですね」
そういえば、春季キャンプでも柘植の姿を探すとブルペンにいることが多かった。
「入団してすぐに味方のピッチャーの映像を見るんですが、映像だけじゃわからないところも多いのでやはり実際に受けるのが大事だと思いました。キャンプ中に、ほとんどの投手のボールを受けることができて、球種や特徴はすべて把握しました。全員、どのボールもすごいですよ(笑)。特に感じたのは、ストレートの強さです」
プロに入って初めて平良海馬やリード・ギャレットが投げる160km超えのストレートを受けた。
「受け方を間違えて、変なところで捕ったら痛いんです(苦笑)。今まで感じた事のないスピードと威力を感じました」