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森友哉がいる西武からのドラフト指名をどう思った? 新人捕手・柘植世那の奮闘と対話力
posted2020/10/15 11:02
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph by
Kyodo News
Honda鈴鹿からドラフト5位で入団したキャッチャーの柘植世那(つげ・せな)が、ここまで一軍で奮闘している。
ドラフト指名を受けたライオンズには2019年10月当時、そのシーズンの首位打者・森友哉がいた。年齢は2つしか離れていない。パ・リーグの最優秀選手賞を獲得した同世代の捕手の存在を、ドラフト時の柘植はどう受け止めていたのか。
「逆に、そういう素晴らしい選手がいるなら、側で見てお手本にしようと思っていました」
プロ入りの際の覚悟を、しっかりとした口調で語る。
ルーキーバッテリーで挑んだ日ハム戦
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、開幕が3カ月も遅れた。思い描いていたようなプロ野球生活のスタートとは言えなかったかもしれない。そんな中でも、準備を整え、柘植は2006年の炭谷銀仁朗(巨人)以来となる新人捕手の開幕一軍入りを勝ち取った。
その後、7月27日に一旦、二軍に降格するものの8月14日に再昇格。それからは着々と出場試合数を伸ばし10月13日現在、15試合に出場している。
「プロは厳しい世界だということは予測していましたけど、その通り、厳しいです。特に、相手バッターの力量や技術がすごいです。そんな強打者と駆け引きをしていく中で、配球面では、日々、厳しさを感じています」(柘植)
とはいえ、柘植のリードが光る試合もあった。同じルーキーの浜屋将太が2勝目を挙げた9月23日の日本ハム戦である。先発の浜屋とバッテリーを組んだ柘植は、9番キャッチャーでスタメン出場した。
だが、この日の浜屋は自慢のスライダーのコントロールに苦しんでいた。2回に先頭打者にフォアボールを与え、安打とフォアボールを挟み、清水優心にタイムリー二塁打を浴びるなど計3点を失う。
2回を終えたあと、柘植は浜屋に言った。
「もっとストレートで押していこう」
柘植は振り返る。