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連係不足は“想定内” 19歳久保建英が森保Jで見せた「身体能力差を埋める」クレバーな技術
text by
中西哲生+戸塚啓Tetsuo Nakanishi + Kei Totsuka
photograph byJFA
posted2020/10/14 12:25
13日のコートジボワール戦ではスタメン出場となった久保建英。後半途中の61分までプレーした
カメルーン戦は2シャドーの一角で起用されましたが、コートジボワール戦は2列目の左サイドでした。ビジャレアルでも左サイドで起用されたことはありますが、適正ポジションは右サイドです。
それでも、窮屈さを感じることはなかったでしょう。
前半の途中までは、対面のウイングバックに引っ張られる形でポジションが低くなりました。特徴を出せるエリアでプレーできるようになっていくのは30分過ぎあたりからで、33分には左サイドバックの中山雄太とパス交換から、インナーラップを仕掛けて際どいクロスを供給しました。
久保が見せた「身体能力の違いを埋める」クレバーな技術
コートジボワール戦で掘り下げるべきプレーは、41分に見つけることができます。
左サイド深くで浮き球のパスをコントロールした久保は、身体の向きを整えてDFと正対します。すぐに突破のアクションをおこすのではなく、いつでも仕掛けられるところへボールを置きながら……瞬間的にスピードを上げてゴール前へクロスを通しました。
このシーンでは「緩急の変化」や「静から動への移行」といった表現が使われるかもしれません。それも間違いではありませんが、あくまでも相手を見たうえでの判断です。自分のスピードを意図的にゼロに落として、相手が両足を揃えて止まった瞬間に、タテへ出ていったのです。
コートジボワールの選手は身体能力が高く、日本人の感覚とは違う距離感やタイミングで足を伸出してくる。相手が得意とするタイミングで足を出させない、出されてもボールに届かないようにするために、この場面の久保は自らのスピードをゼロに落としたのでした。身体能力の違いを埋めるクレバーなスキルが発揮された場面でした。