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「“そめみん”は別世界の人だった…」巴投げ最強・角田夏実が勝てなかった“天才”はなぜ柔道界から姿を消したのか?「小学生の角田に“30秒”で一本勝ち」
posted2025/04/25 17:00

パリ五輪・柔道女子48kg級の金メダリスト・角田夏実が“天才”と名前を挙げた染宮杏子さん(右)
text by

石井宏美Hiromi Ishii
photograph by
L)Naoki Nishimura/AFLO SPORT,R)Kiichi Matsumoto
パリ五輪・柔道女子48kg級の金メダリスト角田夏実(32歳)には、かつて敵わなかったライバルがいた。世界の頂点に立った今も「本当に強かった」と回顧する逸材は、なぜ柔道界から姿を消したのか。“消えた天才”の現在の姿を追った。【NumberWeb消えた天才特集・全2回の1回目/後編も公開中】
昨夏、31歳にして初めてオリンピック出場を果たし、パリ五輪・柔道女子48kg級の金メダルを獲得した角田夏実。大舞台のプレッシャーをものともせず圧倒的な強さで頂点に上りつめた。
今年4月には、体重無差別の皇后杯全日本女子柔道選手権大会で体重差20キロ以上の相手を投げ飛ばし、最軽量級ながら3回戦まで進出してファンを沸かせた。
そんな彼女にも学生時代どうしても勝てなかった天才がいる。
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「本当に強かったですね。当時はどこか別世界の人というような雰囲気もあって。所属は別でしたけど中学のときに合宿で一緒になることがあって、そこで仲良くなって一緒にいてくれることがうれしかったし、だからいつの間にか合宿に行くことが楽しみになっていたんです」
角田が当時憧れていたのは、千葉四街道警察の道場・警和会に所属していた同学年のライバル、染宮杏子さんだった。
最強のライバル「そめみん」
幼い頃に八千代警察署の道場で柔道をしていた角田とは警察署内の道場つながりで小学生の頃に何度か対戦している。染宮さんの角田に対する当時の印象は「泣き虫なっちゃん」。
「負けたら必ず泣いていたので、そのイメージが強かったですね。でもまだお互いによく知らない頃から道場で会う度にニコって笑って会釈してくれたことが印象的だったんです。それがきっかけで仲良くなって」
お互いを「なっちゃん」「そめみん」と呼び合うほど関係を深めた二人。先に頭角を現したのは染宮さんだった。