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筑波大3年角田涼太朗がマリノスを選んだ理由は? 「先輩・松田直樹さんも超えていきたい」
posted2020/10/09 11:01
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
「本当に最後の最後まで悩みましたが、オファーをもらったチームの試合やハイライトを重点的に見ていたら、純粋にマリノスのサッカーがしたいと思えたんです」
大学サッカー界屈指のセンターバックとして注目を集めていた筑波大3年の角田涼太朗が進路を決断した。
以前、当連載のコラムで「左利きのCB」という希少価値と進路に悩む彼の葛藤を紹介したが、9日に横浜F・マリノスへの来季加入が正式に発表された。J1の4クラブ、J2の1クラブ、合わせて計5クラブの正式オファーの中から角田が選択をしたのは、昨季のJリーグチャンピオンだった。
「どのクラブにも優秀なCBがいるので、どのチームに行っても厳しいポジション争いになるし、学ぶべきものが多いのは間違いない。最終的な決め手となったのは、自分が純粋にやりたいと思うサッカーかどうか。
マリノスは自分たちが主導権を握って試合を進めていくし、ボールを動かして最終ラインからビルドアップをしていく。それでいて前線に強烈なアタッカーが揃うので、一発(のロングボール)で相手をひっくり返すこともできる。臨機応変なサッカーができることが魅力的だし、自分の力を発揮できると思ったんです」
角田の左足を生かせるマリノスサッカー
今季でアンジェ・ポステコグルー体制3年目を迎えたマリノス。常にDFラインが高い位置を保ち、サイドバックが中央のボランチラインから攻撃の組み立てるサッカーは円熟味を増してきた印象だ。さらにマルコス・ジュニオール、仲川輝人、エリキ、前田大然、オナイウ阿道と層が厚くなったアタッカー陣で構成する強烈な3トップへ、時にはシンプルにボールをどんどん配給していく。客観的に見ても角田と能力は、現在のマリノスサッカーとフィットすると思える。
角田の特徴的な長所は、左足から繰り出される制度の高いキックだ。長短織り交ぜたパスで一気に局面を打開できる上、高さ、スピードも兼ね揃えていることでマリノスのハイラインサッカーへの対応も問題ないと見る。さらに左サイドバックとしてもプレーできることで、その展開力やクロスボールはマリノスの攻撃にも厚みをもたらすだろう。
「バックラインの選手の役割が多いのが魅力です。特にCBは繋いで守って、ラインも保ってと、とてもやりがいを感じました。もちろん簡単なことではないですが、サッカー選手としてより成長したいと思った時に、多くの役割をこなせることが大事だと思っています。そのタスクを高いレベルで当たり前のようにこなさないと、その先のA代表はないと考えているので」