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遠藤保仁、ジュビロ移籍は存在価値を示す挑戦 “俺が俺が”ではなくサッカーに「思考」を
posted2020/10/09 20:00
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
Getty Images Sport
短気は損気という。
短慮がいい結果をもたらさないのは、世の習いと言っていい。
サッカーの世界では「短期が損期」になってしまうケースもある。
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ガンバ大阪で20年にわたってプレーした遠藤保仁が10月のタイミングでジュビロ磐田にレンタル移籍した。
移籍を報じる記事を“三度見”するくらい驚いた。
だってそうでしょう。シーズン残り2カ月強、監督交代のタイミングとはいえポジションを奪うにはすぐにチームにフィットしなければならないし、勤続20年の所属先を離れて新しい組織にすぐ馴染めるものでもないだろう。かつ来シーズンになってガンバに戻るというなら、世代交代を進めていくところに復帰しても今季以上に出番が少なくなる可能性だってある。
ジュビロに完全移籍していく流れになる?
リスクを伴わない移籍などない。とはいえ“出場機会を求めて”だけが理由だとどうも合点がいかない。「短気」とはかけ離れた人一倍気の長い彼ならなおさらである。
ガンバでの移籍会見、ジュビロでの新加入会見から彼の本心を探ってみることにした。
一般的な見立てとしてはこうだろう。
レンタルはあくまで形式的。今シーズン限りで契約が切れるという報道もあり、ガンバの世代交代が進んでいくならばそのままジュビロに完全移籍していく流れになるのではないか、と。
ガンバの会見でメディアからも当然、その質問が飛んだ。「ガンバに戻ってきたい気持ちはあるか?」と問われると遠藤は「もちろん」と応じた。
「これだけ長くお世話になったクラブですし、ここ以上のクラブはないとは思うので、レンタル移籍という形で1回離れますが、ガンバに戻ってきたいという気持ちは強く持っています」