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どうして強がって見えるのか……「生意気なサッカー選手・内田篤人」を追い続けて見てきたこと 

text by

寺野典子

寺野典子Noriko Terano

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2020/10/04 11:02

どうして強がって見えるのか……「生意気なサッカー選手・内田篤人」を追い続けて見てきたこと<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

8月23日のガンバ大阪戦をもって、14年のプロ生活を終えた。

「先輩たちがグラウンドでやるべきことをやっていたのを見てきました。(小笠原)満男さん、ヤナギさん(柳沢敦)、(大岩)剛さん、中田浩二さん、僕が入った年は本田(泰人)さんもいました。鹿島の選手らしい振る舞い、立ち姿に感じるものがあった。でも、今の僕にはそれができていない。練習中も怪我をしないように少し抑えながら、試合でも少し抑えながらのプレーが続いていた。たとえば(永木)亮太とか小泉慶とか土居(聖真)くんとかが練習を100%でやっているなかで、(そんな僕が)その隣に立つのは失礼だと思うようになった。鹿島の選手としてけじめはつけなきゃいけないなと思った」

 このメッセージによって、鹿島の選手たちは自問自答したに違いない。「自分たちは選手生命を削るように生きているのか」と。内田が語った引退理由には、これこそが鹿島の選手、プロとしての生き方が示されていた。

感情を出さない内田が思わず、感極まった“ラストゲーム”

 内田は日々をどう生きるのかということにこだわり、サッカー選手としてのキャリアを過ごした。大きくて、遠くにある目標よりも、ただ目の前のことに執着していたのかもしれない。1本のパス、ひとつのトラップ、オフザボールでのランニング。1対1での攻防。素早い思考と決断。どんな小さなプレーにも意識を注ぎ、無駄にしない。その積み重ねが、ドイツへの移籍に繋がった。かの地でも同じことを繰り返した。

 そして、日々の自身に納得がいかないと感じ、引退を決める。それは、潔いのか、それとも、限界まで粘った末の決断だったのかは、わからない。

 ただ、同点弾を演出したラストゲーム。

 引退セレモニーの挨拶で、感極まって、涙を流しそうになるほど、感情が揺れた内田篤人の姿に、彼が重い荷物をおろしたんだと、痛感した。もう、強がる理由もないはずだ。ただそれは、サッカーの現場に戻るまでの間だけかもしれないけれど。

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