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バイエルンにフランス人が多いのはなぜ……ルンメニゲが振り返る「リベリーと別荘での2時間」
text by
アレクシス・メヌーゲAlexis Menuge
photograph byGetty Images
posted2020/09/23 08:01
2019年、バイエルンはDBPカップを制覇。トロフィーを掲げるリベリー
クラブOBが監督を務める“バイエルンの伝統”
――クラブのレジェンドである偉大な選手が会長に就くのがバイエルンの伝統です。最初はフランツ・ベッケンバウアーで2002年からあなたが引き継ぎ、2022年1月1日からはオリバー・カーンが新たに就任します。世界のどこにもこんなクラブは存在しないし、特異なモデルであるといえます。確固たるポリシーとして実践しているのでしょうか?
「元々はヴィルヘルム・ノイデッカー会長(在任期間は1962~1979年)が、ウリ・ヘーネスを1979年にゼネラルマネージャーに任命したことから始まった。それがスタートで、1994年にベッケンバウアーが会長に就任し、2002年に私が引き継いだ。ほどなくオリバー・カーンの時代が来るが、彼はサポーターから絶大な支持を得ている。最高の選択だったと思っている。
結局のところわれわれの哲学は3つのSに要約される。セリユー(英語ではシリアス)、ソリデール(英語ではユナイテッド)、ソリッドだ」
――その哲学を、長期的にも持ち続けますか?
「バイエルンには卓越したパーソナリティを持つ選手がたくさんいる。たとえばトーマス・ミュラーは、ユーモア感覚に溢れた成熟した人物だ。ヨシュア・キミッヒはピッチの上でもピッチを離れても、望ましい道のりを辿っている。求めているのは長くバイエルンで選手としてのキャリアをまっとうし、引退後はフロントでも重責を担える人材だ」
――バイエルンだけがこのモデルを確立し得たのはどうしてでしょうか?
「それは何よりクラブを構成するすべての人々が互いに信頼しあっているからだ。ウリが先駆者で、彼が道を切り開いた。彼の存在、彼が実践したことがクラブの文化となり、私はそこに誇りを感じているし、ヨーロッパで唯一であるという自負もある。このモデルとともに、われわれは経験を積み成功を収めてきた」
――不思議に思うのはクラブマネジメントではそれだけかつてのスーパースターが貢献しながら、監督としては誰も長期的に成功を収めていないことです。
「たしかにここまでは、OBたちはマネジメント面で多大な貢献を果たし成功を収めてきた。だが、数カ月前から、ハンジ・フリックが監督に就任した。クラブのOBで、現役時代には4度(1986年、87年、89年、90年)ブンデスリーガで優勝している。まさに当たり籤だとわれわれは考えている。今日のサッカーでは、トップレベルの監督は地域の中にはいない。チームと完ぺきに密着できる監督を見出すのは簡単ではない」
――どうもありがとうございました。