水沼貴史のNice Middle!BACK NUMBER
オルンガは“足の振りの速さ”が強烈!
水沼貴史が語る外国籍FW活躍の秘訣。
text by
水沼貴史Takashi Mizunuma
photograph byJ.LEAGUE
posted2020/08/29 11:50
今年のJ1を席巻している柏のオルンガ。今後もぜひ日本でその身体能力と決定力を見たい。
エメルソンはとにかく規格外だった。
ちなみにJリーグで活躍できる外国人選手の共通点として、周囲との連係、コミュニケーションをうまく取れることが挙げられます。先日、久保建英の活躍の要因に「チーム内で信頼を獲得できたこと」を挙げましたが、相乗効果を生むパートナーを見つけるためには、まずはチーム全体の信頼を勝ち取らなければいけない。
独りよがりのプレーが多い選手は、どんなに技術が優れていようとも、長続きはしないでしょう。もちろん、これはJリーグに限ったことではないですが、周りのサポートがあってこそ点が取れているんだということがわかっていないといけません。Jリーグだって甘くないですからね。
とはいえ、たまに規格外の選手は現れます……例えば、何かと話題になることが多かったエメルソン。扱いに苦労した部分も多かったと思いますが、ただ彼の場合はボールを託すと必ず結果を出すタイプ。ちょっとパス出して「あとはよろしく」で点を取ってくれたら、それもまた信頼です(笑)。
マルキーニョスは本当に優秀だった。
話を戻しましょう。その点で過去の外国籍ストライカーを振り返ると、マルキーニョスは優秀な選手だったなと思いますね。オルンガと同じく7試合連続ゴールも記録していましたし、何より彼はどこのチームに行っても活躍することができた(東京V、横浜FM、市原、清水、鹿島、仙台、神戸)。そのキャリアが何よりの証拠です。
性格的にチームに溶け込むことがうまかったのでしょうが、ストライカーとしてのプライドとチームプレー、献身性を兼ね備えていた。体を張る場面ではしっかりと戦える選手でしたからね。そのバランスがとてもJリーグにマッチしたのでしょう。
そういう意味で言えば、昨季のマリノス優勝に貢献した得点王のマルコス・ジュニオールも献身的なプレスが目立ちますし、それでいて得点の匂いをいつも漂わせている。途中加入のジュニオール・サントスも鬱憤を晴らすかのように頑張りを見せています。
またゴール前の迫力が魅力のレアンドロ・ダミアン(川崎)は、スタメンで出ても、途中出場でも全力でプレスにいく。昨年初めて見た時にすぐにいい選手だということがわかりました。得点を獲るだけではない、貢献度が高い外国人選手が増えてきたのは、強化の方針がより明確になっているということですよね。