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J1勢が目を光らせるJ2の若い才能。
長崎の毎熊から山口の17歳FWまで。
posted2020/08/29 11:40
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
J.LEAGUE
今シーズンのJ2は面白い。いつも以上に話題が豊富だ。
8月23日までに全日程の3分の1を消化し、V・ファーレン長崎が首位に立っている。就任2年目の手倉森誠監督は既存のメンバーを底上げしながら効果的な補強を行ない、巧みなコンバートで采配に幅を持たせることにも成功した。
プロ1年目の毎熊晟矢(まいくませいや)は、好調なチームを象徴する存在だ。得点感覚とパスセンスを備える万能型のストライカーとして入団したが、「チームとしてボールを保持して動かそうと考えたときに、プレッシャーを受けても怖がらず、高い位置へ勇気を持って出ていける」(手倉森監督)選手として右サイドバックに抜擢された。
6月下旬のリーグ再開後は先発に定着し、アタッキングサードで攻撃性能を発揮しながら守備力を向上させている。手倉森監督は「長い距離を迷いなく出ていく判断力」も評価しており、右サイドバックに目覚める東京五輪世代の成長は、長崎のJ1昇格を左右すると言ってもいい。
北九州の2トップは要チェック。
2位には誰も予想できなかったチームがいる。2016年以来のJ2復帰となるギラヴァンツ北九州だ。これまで4つのチームをJ1へ昇格させた小林伸二監督が率いるチームは、7節から14節まで8連勝を飾っている。通算では10勝1分3敗で、首位の長崎を勝点1差で追走している。
どのチームにも走り負けない走力と、高強度のプレーを身上とするチームには、将来性豊かなタレントが揃っている。若手を生かす経験者の存在もある。そのなかでも2トップは要チェックだ。ディサロ燦シルヴァーノと町野修斗である。
イタリア人の父と日本人の母を持つディサロは、ここまで得点ランキング2位の8ゴールをマークしている。昨シーズンはJ3で7得点だったから、成長の歩幅を一気に広げている印象だ。最前線でボールを収めながらDFラインの背後を狙い、利き足の左足から繰り出す一撃はハンマーのような破壊力を持つ。
ディサロのやや後方にポジションを取る町野は、ここまで5得点6アシストを記録している。185センチのサイズを生かした高さと強さがあり、カウンターの局面でボールを運ぶ推進力も高い。