Jをめぐる冒険BACK NUMBER
奥川雅也が語る飛躍の時と南野拓実。
「ほんま“THE海外選手”というか」
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byAtsushi Iio
posted2020/08/14 18:00
ザルツブルクで9ゴールを決め、7連覇に貢献した奥川雅也。欧州での市場価値も今後上がりそうだ。
ポリバレントな資質をどう捉える?
――ウイングなのか、トップ下なのか、1トップとは言わないけれど、2トップの一角など、よりゴールに近いポジションがいいのか。どこがしっくりきますか?
「やりたいところで言えば、サイドですけど、監督からは『どこでもやれる選手は使いやすい』とよく言われていて。シーズン中盤にはボランチもやりましたし、FWも、10番(トップ下)もやって、シーズン終盤にはサイドバックもやった。使い勝手がいいってわけじゃないですけど、どこにでもハマるプレーヤー、かつゴールを狙える選手はそんなにいないので、どのポジションで起用されても、自分のプレーを出せるようになれればいいのかなって」
――「トップ下じゃなきゃ嫌だ」とか、「後ろのポジションは嫌だ」と言う選手もいるけれど、ポリバレントな資質を評価されることをポジティブに受け止めている?
「最初はやっぱり『え?』って思いましたよ。でも、使ってもらえるということは、他の選手を押しのけて出るっていうことなので責任があるし、子どもの頃、センターバックやGKをやりたいという、よく分からない時期もあったんです(笑)。
サイドバックから見える景色と、トップ下から見える景色は違うし、いろんなポジションをすることでプレーの幅が広がってくる。ただ、どのポジションに入っても、前を狙うプレーは絶対に忘れたくない。それは意識しています」
試合に出るために守備もやらないと。
――「俺はこうだ」と決めつけなければ、この先、自分でも想像がつかないようなスタイルに成長を遂げていくかもしれない。
「実際、そうなってきていると思うんですよね。以前は守備をしないイメージだったと思うんですけど」
――確かに(笑)。
「今は、普通に守備もしますし。現代サッカーでは、試合に出るために守備もやらないといけない。要領良くじゃないですけど、どんなに攻撃面に自信があっても試合に出られないと意味がないから、守備も練習からしっかりやって、監督にアピールしていましたね」
――特にザルツブルクは攻守のトランジションが速く、非常にインテンシティが高い。そうしたサッカーの面白さも分かってきた?
「そうですね。ザルツブルクのサッカーは、やみくもにプレスを掛けているだけやろ、と思われがちですけど、(相手の)ハメ方にもいろいろあって、それがハマると強い相手に対してもいい試合ができますし、攻撃を考えた守備なので、攻撃の選手からすると、すごくやりやすい。前でボールが取れれば、ゴールが近いですし、ショートカウンターを繰り出して、クロスに合わせるのが自分の武器になりつつある。
ザルツブルクのサッカーは、現代サッカーのトップを走っていると思いますね。相手が強かろうが、弱かろうが関係ない。どんな相手に対しても自分たちのサッカーができるのがザルツブルクの強みというか。それが7連覇に繋がったと思います」