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収益化に苦戦するプロラグビーの現実。
トップリーグ大物移籍の背景とは。

posted2020/07/27 07:00

 
収益化に苦戦するプロラグビーの現実。トップリーグ大物移籍の背景とは。<Number Web> photograph by Romain Biard/Icon Sport via Getty Images

来季NTTコムへの加入が決まったSHグレイグ・レイドロー。「試合数が少なく、待遇がいい」トップリーグは魅力的な移籍先なのか。

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竹鼻智

竹鼻智Satoshi Takehana

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Romain Biard/Icon Sport via Getty Images

 ニュージーランド代表のボーデン・バレット、スコットランド代表のグレイグ・レイドロー、南アフリカのマカゾレ・マピンピ。昨年日本で行われたワールドカップで観衆を沸かせた世界のスーパースターたちが、続々とトップリーグへの移籍を発表している。

 世界の大物選手のトップリーグへの移籍は、今に始まった話ではない。最近ではニュージーランド代表のダン・カーター、かつては同国代表のソニー・ビル・ウィリアムズ、マア・ノヌーなど、多くのスーパースターがトップリーグでのプレーを経験している。

 こうした大物の移籍は、「トップリーグは海外のリーグに比べ試合数が少なく、給料がいいから」という理由で説明できる。だが、なぜそのような構造が存在するのか。選手たちがそれまで所属していた海外のプロラグビーに目を向けてみると、プロならではの厳しい現実が見えてくる。

プロラグビーを支えるパトロン構造。

 世界トップレベルの選手たちがプレーするラグビー強豪国のプロクラブは、基本的に独立採算制で運営される、私営企業の形をとる。1995年、国際統括団体であるインターナショナル・ラグビー・ボード(現在のワールドラグビー)が競技のプロ化を容認してから25年が経つが、ビジネス面で言えばラグビーのプロ化は成功しているとは言い難い。

「世界のプロリーグを見てみると、どの国でもリーグ参加クラブの大半が赤字経営という、非常に残念な現実がある。イングランドのプレミアシップについて言えば、殆どのクラブで、ラグビーが大好きな億万長者が私財を投じてクラブ経営を支えるという、いびつなパトロン構造で成り立っている」

 世界中のプロクラブだけでなく、代表チームにもトレーニング用品を提供するライノ・グループのCEOレジ・クラーク氏は、プロラグビーをビジネス面で成功させる難しさを指摘する。

 日本でのトップリーグプロ化構想でも議論されているが、クラブが抱える選手数が多く、ワールドカップや海外遠征などの例外を除き、週に1試合しか組むことのできないラグビーは、構造的に収益性が低い。年間10試合程度しか行わず、ファンベースも大きい代表チームは、試合の放映権収入や観客動員数も伸びて潤うが、その基盤となるクラブの経営は、全くの別物だ。

 こうした背景から、ラグビー協会がクラブを資金的に援助したり、事実上の傘下組織としたり、或いはパトロンが私財を投じなければ経営が成り立たないほどに、世界のプロクラブはビジネス面で不調に喘いでいる。

【次ページ】 CVCキャピタル・パートナーズの存在。

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