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2019-20ブンデス日本人総括。
遠藤航、原口元気、宮市亮編。
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph bypicture alliance/AFLO
posted2020/07/22 11:30
2部リーグ2位でシーズンを終え、1部リーグ復帰を決めたシュツットガルトの遠藤航。来シーズンにも期待が高まる。
遠藤、希望のヘディングシュート。
攻撃面でも、遠藤が繰り出す縦パスがチャンスの起点となるシーンが多かった。3月のビーレフェルト戦後には「自分がいい形でボールを受けた後に相手の背後を狙う動きとか、いい動き出しがあれば、パスを出せる自信はあった。プレッシャーのある中でもチャンスメイクしていくことが求められていると思います」と語っていた。遠藤は、試合の流れを作り出すだけでなく、そこから決定機につなげていくプレーにチャレンジしていた。
さらに積極的なミドルシュートでゴールを襲い、シーズン終盤はゴール前にタイミングよく顔を出す機会も増えて攻撃に厚みを加えた。そして初ゴールとなったハンブルガーSV戦でのヘディングシュートは、今季チームで最も価値あるゴールの1つとも言えるものだった。
それは第28節、昇格を争うライバルとの直接対決で炸裂した。この試合までの直近4試合は1分3敗と良くない流れがあり、加えてシュツットガルトは前半だけで2点を失っていた。そのまま試合を落とすようだと、ズルズルと転落していってしまう……。
遠藤のゴールはそんなチームに大きな希望を与えた。この得点で勢いを取り戻したチームは終了間際のゴールで逆転して、2位に浮上した。まさに、今季の行方を左右するゲームの1つだったといえるだろう。
チームの主軸として臨む2020-21シーズン、遠藤には1部でその実力を存分に発揮してもらいたい。新しいチャレンジに期待が高まる。
前半苦しんだ原口元気。
ハノーファーでプレーする原口元気の今季は、順調な船出とはならなかった。ミルコ・スロムカ前監督から信頼を受けることができずに、スタメンから外される試合が多く、地元紙はプレー内容への解釈がかみ合わず、意見の衝突があったと報じた。
これまではバイエルンやドルトムント、RBライプツィヒやボルシアMGが対戦相手だった。ヘルタ時代はヨーロッパリーグに参戦して、過密日程を戦った経験もある。そんな自分が各国代表選手がいるわけではないブンデスリーガ2部で、満足なプレー機会を得られない。さぞ悔しい思いをしたことだろう。
「1部と2部ではサッカーの質が違う」と、いろいろな選手が口にする。1部経験者が思うように本領を発揮できず、2部クラブでポジションを失うことはよくある。ハイレベルな技術と緻密な戦術での駆け引きより、体をぶつけあい、勢いと迫力で相手を凌駕できるかを競うような雰囲気の中で、それでも求められるパフォーマンスを発揮しなければならない。