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「早く土俵を造りたい!」
呼出しが滲ませる相撲愛。
posted2020/07/18 18:00
text by
佐藤祥子Shoko Sato
photograph by
KYODO
本来なら名古屋で開催されるはずの7月場所が、東京・両国国技館で、1日あたり約2500人に制限した有観客として行われることになった。今年の相撲界を振り返ると、1月の初場所を通常開催したのち、新型コロナウイルス問題が湧き起こり、3月大阪場所では無観客開催に。しかし日を追うごとに状況は悪化し、5月の夏場所は中止。力士は「外出禁止」となり、部屋住みでない行司、呼出しなどの裏方も自宅待機の日々を送っていた。
そんななか、両国に住むある40代の呼出しから1通のメールが届く。
「ああ、土俵を造りたいです!」
土俵上で東西の力士の名を呼び上げる「呼出し」だが、その仕事は幅広い。拍子木打ち、懸賞旗の掲示、力水やタオルを力士に渡すといった土俵回りの雑務全般、そして土俵造りも大切な仕事のひとつだ。各部屋の稽古場や本場所、各巡業地の土俵造りは“土俵築(どひょうつき)”と呼ばれ、埋め込まれる俵ひとつひとつを作ることから、すべてが呼出しの手によるものだ。作業着姿に地下足袋で、その姿はまるで職人のようでもある。