球体とリズムBACK NUMBER
出遅れた王者マリノス、挽回なるか。
喜田拓也「乗り越える自信はある」
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byJ.LEAGUE
posted2020/07/14 18:00
FC東京に昨季のリベンジを許したマリノス。それでもまだ開幕4節、十分に巻き返す試合数はある。
同点までの流れが勝利の分かれ目。
昨季最終節の悔しさもあったはずだ。そして何より、復帰した永井謙佑の存在が大きかった。今季初出場を果たした31歳の韋駄天は、そのスピードで横浜の低い位置からのパス回しに綻びを生み、攻撃時には俊足を飛ばして相手に脅威を与えた。
そしてアウェーチームは失点から10分と経たないうちに、同点の絶好機を迎える。自陣から長めのグラウンダーのパスをつなぎ、前線中央のディエゴ・オリヴェイラに楔が入ると、ダイレクトで右に展開し、駆け上がってきた室屋成もワンタッチで折り返す。
そこに走りこんできた田川亨介に、チアゴ・マルチンスが後ろからタックルし、PKが宣告された。これをディエゴ・オリベイラが自分の間合いで仕留め、試合は振り出しに。
同点までの一連の流れは、この試合の勝負の分かれ目だったと振り返られる。というのも、ここで負傷した田川に代わって投入されたレアンドロが残りの2ゴールを決めることになるのだ。
ひとつは前半終了間際の直接FK、もうひとつは後半開始直後のボレーシュートだ。「壁が低かったので、コースが見えた」と説明したFKも、永井のクロスに軽快に合わせた強烈なボレーも、実に美しいゴールだった。
アンジェの“3枚替え”も実らず。
横浜のアンジェ・ポステコグルー監督は前節、先行された後に3人を一気に交代させ、その全員が得点に絡んでシーソーゲームを勝利に導いている。
この日も同様に、60分過ぎに3枚のカードを同時に切ったが、2試合続けて采配が的中することはなかった。むしろ、オナイウとエジガル・ジュニオの2トップ気味に変更したことで、その下のつなぎ役がいなくなり、攻撃の流れは淀んだように見えた。
結局、スコアは1-3のまま終了を迎え、昨季の覇者は4試合を終えて、1勝1分2敗の13位。
新型コロナウイルスの影響による長い中断や観客制限、J2降格の不採用、長期の連戦や交代カードの増加など、普段とは異なるシーズンだけに、難しさはあるかもしれない。
しかしそれはどのチームにも言えることだ。