球体とリズムBACK NUMBER
出遅れた王者マリノス、挽回なるか。
喜田拓也「乗り越える自信はある」
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byJ.LEAGUE
posted2020/07/14 18:00
FC東京に昨季のリベンジを許したマリノス。それでもまだ開幕4節、十分に巻き返す試合数はある。
天野、小池からも意欲を感じる。
9日に延期されていたAFCチャンピオンズリーグの日程が発表され、10月から11月に集中開催されることになり、今後のカレンダーはマッチデーでいっぱいになる。だがそれもまた、この日の相手のFC東京や、ヴィッセル神戸と同じ条件だ。
「(過密日程のなか)選手をケアしなければならない。彼らがベストを尽くせるように、我々は手を尽くす」とポステコグルー監督は、昨季MVPの仲川輝人をベンチスタートにした理由を説明した。そしてブリスベンでも横浜でも2年目にリーグを制した信念の人は、おなじみのセリフで試合後の会見を締めくくった。
「敗れはしたが、我々のフットボールは良かった。試合をコントロールし、多くのチャンスを作った。最も重要なのは、自分たちのフットボールを続けることだ」
確かに特に前半は良い形が何度も見られ、20分には相手ボックス付近で小気味よいダイレクトのパスワークを披露。ベルギーから帰還した天野純は体つきが逞しくなったうえに士気も高そうだし、同じくロケレンに所属していた新加入の小池龍太は指揮官が好みそうな攻撃的SBに見える。
「一度つないだ手を絶対に離しません」
仲川やエリキ、エジガル・ジュニオにまだ得点がないのはやや気がかりだが、一度でもネットが揺れると、また昨季のような量産が期待できるかもしれない。ライバルの対策を乗り越え、あの凄まじいまでのアタッキングフットボールが戻ってくれば──。そのためには、やはり信じることがカギとなるか。
そこを問われた主将の喜田拓也は、「当然ですね」と笑顔で答えた。
「みなさんがどう思っているかはわかりませんが、自分たちは一度つないだ手を絶対に離しません。何があっても乗り越えていく自信はあります」
リーグ連覇とアジアの頂点──。壮大な目標に向けて、やや出遅れてしまった感は否めない。それでもマリノスは信じる航路を突き進んでいく。潤沢な戦力、明確な指針のもとに。