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高木琢也の堅実と永井秀樹の理想。
J2大宮vs.東京Vでの正反対な数字。
posted2020/07/15 08:00
text by
熊崎敬Takashi Kumazaki
photograph by
J.LEAGUE
開幕4連勝。V・ファーレン長崎とともにJ2首位に立つ大宮アルディージャは、リーグ再開後、3試合連続完封勝ちと堅い守りで勝点を重ねている。
そんな彼らには、特筆すべきデータがある。
ボール支配率が開幕戦から47、42、42、31%と、すべて相手を下回っているのだ。
とくに31%を記録した4節の東京ヴェルディV戦は、「サッカーはポゼッションではない」という真理を体現するような試合運びだった。
5バックを敷いて自陣のスペースを消すことに努め、開始1分に生まれた先制点を守り切ったのだ。
ちなみに敗れた東京Vには、大宮とは正反対のデータがある。
こちらはボール支配率が開幕から59、76、71、69%。すべての試合で相手を上回りながら、勝ち星に恵まれていない。
ちなみに71%は3節の栃木SC戦。後半開始直後に退場者を出しながら、ハイスコアを叩き出した。
現実主義の大宮・高木監督。
大宮の高木琢也監督は過去、横浜FCと長崎を昇格に導いたように、限られた戦力で勝点を積み上げる術に長けている。
ひと言でいえば現実主義。
この試合でも自ら攻め込むことはせず、11人が自陣に引いて、東京Vが攻めてくるのを待った。相手がハーフラインを越えるまでは、プレッシャーをかけにいかない。
守りを固める目的は、失点を防ぐためだけではない。
「全員攻撃、全員守備のトータルサッカー」を理想に掲げる東京Vは、大胆に最終ラインを押し上げ、2バックに近い形で前に人数をかけて相手を崩そうとする。
つまり、自陣でボールを奪った瞬間、敵陣には広大なスペースが広がっている。タテパス一本で王手。大宮は、この瞬間を狙っているのだ。
残念ながら、カウンターから追加点が生まれる場面はなかったが、攻撃面で見どころがなかったわけではない。
カウンターの場面では、5バックの両ワイドが確実にフリーになる。ここを起点として、速攻に出るか、それとも時間をかけて回すのかの判断が、とてもはっきりしていた。
また途中出場のイッペイ・シノヅカの仕掛けは、いつ見ても気持ちがいい。